プロディジー

とりあえず新年1回目の更新ですが、実は喪中なので新年の御挨拶はご遠慮させて頂きます。
今年もゆるゆるとマイペースでやっていきますので、どうぞよろしくお願い致します。


晦日には昔からの音楽仲間と飲み会をしていたのですが、そこで語ったのがブロディジーについてでした。というわけで今回は彼らについて取り上げてみます。
プロディジーってテクノなんだかレイヴなんだかオルタナなんだかビッグ・ビートなんだかよく解らないくらい幅広い音楽性なんですけど、こういう毒気のあるクールな音はジャンルに関わらず大好きなんですよね。だからクラブとかには縁がない人間でありながら、彼らの音はよく聴いてました。
彼らがヘッドライナーを務めた98年のフジロックには行ってます。文章では説明しづらいんですが物凄いパフォーマンスと爆発的なくらい強烈な音で、本当にカッコよかったです。
この時は暑くてどうしようもないくらいで、体力的には厳しかったんですが、コーンやエイジアン・ダブ・ファウンデーションプライマル・スクリームなんかも観られて楽しかったです。結局あれが最初で最後の野外フェス参戦だったなあ。


プロディジーは90年に英国のエセックスで結成されたテクノユニットです。
当時はレイヴカルチャーが盛り上がりを見せていた時期であり、彼らもその波に乗って一気に頭角を現していきました。僕は当時そっち系の音はそんなに詳しくなかったのですが、そのへんのシーンに詳しい友人に「これはお前も気に入るはず」と言われてたので、結構早い時期から聴いていましたっけ。


The Prodigy - Everybody In The Place


92年のデビューアルバム『Experience』に収録されたシングル。全英で2位の大ヒットになりました。
ブレイクビーツドラムンベース、ヒップホップなどを飲み込みつつ、ロックを想起させるようなスリリングな展開もあって、当時すごいなと思いましたっけ。


The Prodigy - One Love


93年にリリースされたシングル。全英8位を記録しています。
まさにハードコアテクノの王道と呼ぶにふさわしい曲ですね。ゲーム音楽にいいんじゃないかな、と思ったら、すでに使用済みでした。やっぱり。


The Prodigy - Voodoo People


The Prodigy - Poison


94年の2ndアルバム『Music For The Jilted Generation』に収録されたシングル。前者は全英で13位、後者は15位を記録しています。
とにかくトラックの作り方が斬新だったのに衝撃を受けましたね。当時はブリットポップの全盛時で、こういう刺激的かつ意欲的な音はなかなかなかっただけに余計に驚いたものでした。


この時点でもう僕は「プロディジーってすげー」って思っていたんですが、そんな僕でも96年の3rdアルバム『The Fat Of The Land』には度肝を抜かれました。
なぜならこのアルバムで提示された音は、パンク、テクノ、ヒップホップ等の要素が散りばめられているものの、実はそのどれにも属さない斬新さと奔放さを伴った、新しいタイプのものだったのですから。緻密に構築されたサウンドでありながら、その開放感は半端なく、非常に自由な音楽的冒険が実践されているのには感銘を受けました。


The Prodigy - Firestarter


3rdアルバム収録曲。96年に全英1位を記録したほか、ビルボードでも30位に入っています。
毒気のあるゴリゴリした音で、リズム、シンセの音色、フレーズ、パンキッシュなヴォーカル、いずれも最高です。


The Prodigy - Breathe


これも3rdアルバム収録曲。やはり全英1位を記録しています。
言ってみれば「邪悪なダンスチューン」といったところでしょうか。重くも速くもないんですけど、何と言うか雰囲気がヤバイですね。


The Prodigy - Smack My Bitch Up


これも3rdアルバム収録曲。全英では8位まで上昇しました。
「ピッチを上げろ、クソ女にビンタをお見舞いだ」というなんともアレな歌詞(英語圏だと放送禁止)と、カッコよすぎる序盤からタメを効かす中盤を経て「Smack My Bitch Up!」とクライマックスに入っていく怒涛の展開が素晴らしい一曲。最強のダンスアンセムであります。
また夜の街のセックスと暴力を、主観で描いたPVのお下劣さ、エグさは癖になります。まああまりにエグ過ぎて、つべにアップされてもすぐ消されちゃうんですけど(苦笑)
これに勝てるのはラムシュタインの『Pussy』くらいでしょうね。まああれはPVで無修正本番やってるんで、最強すぎて紹介できないんですがww
それと最後のシーンで主人公が映ると、それがもろにビッチの金髪女だったりするわけで、なんとこの主人公はレズだったのだというオチは笑えます。


『The Fat Of The Land』は世界22カ国の最主要アルバムチャートにて初登場1位に輝き、全世界で1000万枚を超えるモンスターヒットを記録。プロディジーは同年のグラミー賞にもノミネートされるなど(受賞は逃した)、瞬く間にして全世界的なスターダムに押し上げられることになりました。
しかしそれに付随するツアーが2年に及ぶなど、バンドは消耗の極みに達して結局は活動休止してしまいます。復活は21世紀を待たなくてはなりませんでした。


The Prodigy - Baby's Got A Temper


02年に復活の前哨戦的なかたちでリリースされたシングル。
しかし全英5位というヒットにはなったものの、「前作の延長線上、焼き直し」とメディアに袋叩きにされることとなり、バンドは新しい方向性を模索することを余儀なくされ、半分以上完成していたアルバムをすべて廃棄し、新たにアルバムを作り直すこととなります。


The Prodigy - Spitfire


04年にリリースされた4thアルバム『Always Outnumbered, Never Outgunned』からのシングル。
テンションの高いタテノリダンスチューンで、ボリュームを上げると破壊力満点です。
ちなみにこのアルバムではMCのキース・フリントとマキシムはレコーディングに参加しておらず、リアム・ハウレットがトラックを作成し、オアシスのリアム・ギャラガーをはじめとする数多くのゲスト・ヴォーカルを招いて歌わせるスタイルをとっています。


The Prodigy - Omen


09年にリリースされた5thアルバム『Invaders Must Die』からのシングル。全英では4位のヒットになっています。
相変わらず破天荒でインパクトの強い音を放っています。小さなハコで見たらドーパミンが溢れ出しそうな刺激的なサウンドですね。
ちなみにこのアルバムではキースもマキシムも戻ってきて製作された事実上の復活作で、日本でもオリコンのアルバムチャートで8位を記録しています。


The Prodigy - Warrior's Dance


同じく5thアルバムからのシングル。全英では13位を記録しています。
襲い来るブレイクビーツの嵐が引き起こす攻撃性と、クールな女性ヴォーカルとのギャップが独特の味を出していますね。紙人形を使ったPVも面白いです。


この人たちは全米ナンバー1になるくらい売れて、音も間違いなく万人受けするポップな面を強めているのに、本来ならその過程で失われていくであろう攻撃性やエグさ、邪悪さが、音の根底から全然無くならないところが好きです。
こういう売れ方が個人的には理想でありますね。