ディーヴォ

どうもです。ゴールデンウイークも終わりましたが、皆様ゆっくり休まれたでしょうか。
僕は仕事で徹夜明けなんで、なんかだるいです。たまにはゴールデンウイークをがっつり全部休みたいものですが、基本休業日のない仕事なんで無理なんでしょうね。
といきなり愚痴から入ってしまいましたが、とにかくそんな調子なので、今回はディーヴォの続きをちょっとあっさりめに書いていきたいと思います。


78年に『Are We Not Men? We Are Devo!』(邦題は『頽廃的美学論』)で衝撃的なデビューを果たしたディーヴォでしたが、翌79年には順調に2ndアルバム『Duty Now For The Future』(邦題は『生存学未来編』)をリリースします。
このアルバムではシンセの使用頻度がぐっと高まり、変態パンクから変態テクノポップへの過渡期みたいな作品になっていますね。サウンド自体はかなり洗練されているんですが、やってることはやっぱり変です。
ただデビューアルバムのインパクトが強過ぎたせいか、あまり世間では語られることはないですね。個人的には結構愛着のあるアルバムなのですが。全英49位、ビルボードで73位。


Devo - The Day My Baby Gave Me A Surprise


『Duty Now For The Future』からのシングル。邦題は『驚きの日』。
割とオーソドックスなテクノポップといった感じなんですが、当時「わーふー」というところが耳に残って好きな曲でした。


Devo - Secret Agent Man


『Duty Now For The Future』からのシングル。邦題は『秘密諜報員』。
ジョニー・リヴァースのカバーです。前回の更新で紹介した初期の演奏では、ゆったりしたリズムのノイジーなシンセポップでしたが、ここではスピードをかなり上げていて、ちょい変則的なニューウェーブ・ポップに仕上げています。
ドラムスが四拍目を二度叩くところが特徴的で、そのギクシャクした感じが当時カッコいいと思いましたっけ。


Devo - Clockout


『Duty Now For The Future』収録曲。
猛烈な勢いのドラミングから始まる何とも言えない変な曲です。音が生ドラムっぽくない感触なので、リズムマシンを使っているのかなと当時思っていましたが、去年のライブ映像を観たら実際に叩いていましたね。
ディーヴォが持たれていたへんてこなイメージを、自分でカリカチュアライズしたセルフ・パロディみたいな曲なのかもしれません。


Devo - Strange Pursuit


これも『Duty Now For The Future』収録曲。
ユーモラスでちょっとへんてこの味のあるテクノポップといった感じで、これも当時面白がって聴いていました。


この年ディーヴォは待望の来日も果たしています。空港ではいきなり黄色いつなぎと3Dメガネというステージのまんまの格好で現れ、待っていた取材陣を唖然とさせたという話は有名です。
彼らはニューウェーブ系のミュージシャンとしては初の日本武道館公演を行い、その模様は東京12チャンネル(現在のテレビ東京)の『ステレオ音楽館』という番組で一週間にわたって放送(この番組は平日の夕方に放送された帯番組だった)されました。当然僕も観ましたよ。他にも『ぎんざNOW!』(TBS)や『ファンキートマト』(テレビ神奈川)なんかにも出演したようですね。
また彼らのライブ風景がそのままPARCOのCMに使われ、大きなインパクトを残しました。PARCOは翌年にもゲイリー・ニューマンを起用するなど、ニューウェーブ系には理解のある印象でしたね。
当時のCMの動画も探してみたんですけど、ディーヴォのは見当たらなかったので、代わりにゲイリー・ニューマンのを貼っておきます。



うーん懐かしい。ニューウェーブの人たちってキャラクター的に珍奇なところがあったんで、広告代理店的にはおいしい存在だったんでしょうね。


翌80年になると、彼らはセルフ・プロデュースの3rdアルバム『Freedom of Choice』(邦題は『欲望心理学』)をリリースします。
このアルバムでは再びギターとドラムが前面に出てくるようになり、シンセはやや後退していますが、その分演奏はシンプルでタイトでシャープになり、今までディーヴォを敬遠していた人にも聴きやすくなっているんじゃないでしょうか。
アメリカではシンセを前面に押し出した曲って、たまにヒットはしますけど基本的にはウケが良くない印象がありますので、今回はディーヴォ側がアメリカ人の好みに寄せたのかな、と思っています。実際ビルボードでは22位(全英47位)と今までになく売れ、シングルヒットも出しました。この頃がセールス的には彼らのピークでしたね。


Devo - Girl U Want


『Freedom of Choice』からのシングル。邦題は『欲望の原理』。動画が埋め込みできないんで、画像左上に出るタイトルをクリックして下さい。
この曲はイントロのちょっと変なギターリフが、なかなかカッコよくて絶品ですね。クールかつサイケデリックな味があります。
このアルバム全体に言えることですが、オーソドックスな部分と新奇な部分のミックス具合が絶妙で、とにかくバランスがいいんですよね。ヒットした原因はそこにあるのかもしれません。
なお彼らが被っている段々型の帽子はエナジー・ドームといい、これ以降の彼らのトレード・マークの一つとなっています。なんでもこれを被ることによって、世界中のエネルギーを集めることができるんだとか。


Devo - Whip It


これも『Freedom of Choice』からのシングル。ビルボードで14位、全英51位。
「デデデデデン、ンー、バン!ンー、バン!」のところがめちゃくちゃキャッチーで、やたらと耳に残る奇怪なポップロックです。
曲の構成自体は単純なんですが、音の使い方にもセンスがありますし、中毒性の高い一曲ですね。


Devo - Freedom of Choice


これも『Freedom of Choice』からのシングル。ビルボードで103位。
アルバムの中では比較的テクノポップ的な部分を残している曲で、シンプルで分かりやすいですね。
PVに登場するインパクトのあるキャラクターはビューティフル・ミュータントと言い、名作SFドラマ『アウター・リミッツ』(再放送で観ましたけど面白かったです)の中のエピソード『狂った進化』に出てくる 「100万年後の未来人」がモチーフになってるんだとか。


アルバムリリース後、彼らはワールドツアーに出るんですが、彼らはそのスタートの地に日本を選び、早くも二度目の来日を果たしています。
東京では渋谷公会堂日本青年館郵便貯金ホールが会場になるなど、箱の規模は小さくなったんですが、前回は4度のライブだったのが9度になり、ツアー自体は拡大しています。また新宿のツバキハウスでシークレット・ライブを行ったり、西武デパート(東京なのは間違いありませんが、どこの店舗かは調査中)の屋上でサイン会を開いたりもしたらしいですね。
また恐ろしいことに、この時ディーヴォ日本テレビのチャリティー番組『24時間TV・愛は地球を救う4』にも登場しています。夜中にブージー・ボーイが現れて小林克也にちょっかいを出したり、人工芝を布団代わりにして寝たりするなど意味不明の大暴れをし、おまけに『Whip It』と『Freedom of Choice』のPVまで地上波で流れたというのは、ある意味快挙でしたね。なんでもTOTOの代打で登場したらしいのですが、日本テレビのスタッフの人はすごい英断を下したもんだと感心します。
この頃が世界的には一番人気のあった時期(日本ではもう古いという声がちらほら出ていましたが)で、ライブ会場も大きくなる一方でした。その頃の映像を一つ。


Devo - Uncontrollable Urge


初期の代表曲。前回のライブ映像と比べてみると違っている部分も同じ部分もあるんですが、とにかくエナジー・ドームのインパクトがなかなかです。
演奏は非常に達者なんですけど、なんか真面目なんだかふざけているんだか境目の見えないところがあって、そこがとてもカッコいいです。


その後彼らは再度テクノポップに接近していき、だんだんと下降線を辿っていくんですが、それについてはまた次回に。