アリス・クーパー

次に取り上げるのはアリス・クーパーです。
70年代前半から中盤にかけて、ショック・ロックという毒々しくもメタリックなサウンドで一世を風靡したクーパーですが、この頃はすっかり落ち目になっていて、その数々の奇行から「精神病院に入院した」という噂まで立っていたくらいです。まあ実際78年には、精神病棟をテーマにした『From The Inside』(邦題は『閉ざされた世界』)というアルバムを出しているのですが。
セールス的にも下がる一方だった現状を打開するためなのか、クーパーはプロデュースをカーズなどで知られるロイ・トーマス・ベーカーに任せ、80年にニューウェーブに思いっきり接近したアルバム、『Flush The Fasion』をリリースするのです。


Alice Cooper - Clones (We're All)


『Flush The Fasion』からのシングル。邦題は『これが俺たちだ』。ビルボードで40位に入っています。
とりあえず当時のカーズのまんまのサウンドですね。それにクーパー特有の芝居がかった粘着質のヴォーカルが載っていて、なかなかの珍味になっています。
子供に見せるのは躊躇われるような、妙にエロエロなPVも印象に残りますね(と書いたけど、よく考えてみたらこれはPVじゃないでしょうね。80年にノートパソコンがあったはずないですし。だとしたらよくできた映像だなあ)。


【追記】

これがPVですかね。とりあえず貼っておきます。



しかし『Flush The Fasion』はあまり売れず、この路線では復活することは叶いませんでした。次のアルバムは日本盤発売が見送られたくらいでしたから、日本での売り上げも悲惨なものだったようです。
クーパーの復活は80年代半ば、LAメタルの勃興を待たなくてはなりませんでした。