リヴィング・カラー

先日2ちゃんねるで「黒人のメタルバンドやパンクバンドってないよな」というスレを見かけ、これだから最近の若い者は、と嘆息したんですが。
パンク(つーかハードコア)ならバッド・ブレインズ、メタルならリヴィング・カラーがあるじゃないか、というわけで今回はリヴィング・カラーです。


リヴィング・カラーは83年に米国ニューヨークで結成されたバンドです。ローリング・ストーンズミック・ジャガーが彼らを気に入ったのがきっかけで、メジャーとの契約を手に入れたという逸話もあります。またそのハードな音作りとリフ中心の曲の構成から、「黒いツェッペリン」とも呼ばれていたそうです。
僕も当時ミック・ジャガーツェッペリンが云々という惹句に興味を持って聴いてみたんですが、その真っ当と言うしかないパワフルで肉感的なロックに、強烈な衝撃を受けたのを覚えています。
黒人のロックというと当時ジミ・ヘンドリックスくらいしか知らなかったんですが、彼らは「黒人がロックをやって何が悪い」という開き直り的な信念を持っているような気がして、そこに小気味よさと潔さを感じましたね。
また彼らはレッド・ツェッペリンの『The Ocean』、トーキング・ヘッズの『Memories Can't Wait』、トレーシー・チャップマンの『Talkin' About a Revolution』をカバーするなど、ジャンルに囚われない柔軟さも持ち合わせていました。


Living Colour - Cult of Personality


この曲は88年にリリースされた1stアルバム『Vivid』に収録されたシングルです。
89年のグラミー賞のベスト・ハード・ロック・パフォーマンス賞に輝き、アルバムもビルボードで6位まで上がるヒットとなりました。
黒人らしくファンキーなリズムではありますが、決して跳ねることのない重たさを持っているのが、他のブラック・ミュージックと決定的に違うところでしょうか。
例えとしてはおかしいかもしれませんが、レニー・クラヴィッツを重たくしたら、こういう音になるんじゃないかと。
ギターのヴァーノン・リードの繰り出すヘヴィなリフと、間奏の弾きまくりソロもカッコよく、まさに史上初の黒人ヘヴィメタルと言っても過言ではないでしょう。


その後バンドは一般大衆が求めるハード・ロックに安住することなく、進化を求めて音楽性を変転させていきますが、その結果メンバー間での音楽性の違いが顕著になり、95年に解散してしまいます。
03年には再結成したのですが、僕個人としては音楽性が変化した後の音が、インダストリアル風になっていてあまり好きじゃなかったこともあって、現在はどんな音なのか聴いていません。
ただ彼らの活動がロックとファンクの間にある見えない壁を崩した、という功績は素晴らしいと思っているので、個人的な評価は高いままなのですが。