デッド・オア・アライブ

昨日久しぶりにCDの棚を軽く整理していたら、いろいろと懐かしいCDが出てきました。
今でこそ最近の音楽に疎くなってきて、ほとんどCDは買わないのですが、昔は潤沢な資金があったうえに当人の感性も敏感だったので、流行りものからどマイナーなものまで手当たり次第に買って聴いてたんですね。ですから調べてみると予想外の品があったりします。
こんなのもありました。昔懐かしいデッド・オア・アライブです。こういうのまで買っていたから、CDが部屋に入りきらなくなるんですね。納得。


デッド・オア・アライブは80年代を代表するハイエナジー*1のバンドで、バブル期の日本でも大変人気がありました。
もともと彼らはポジティブ・パンクみたいな暗い音だったらしいのですが、まだ当時無名だったストック・エイトキン・ウォーターマンのプロデュースを受けるようになって、華麗なディスコ・バンドに大変身。全世界で2000万枚以上を売るまでになりました。
特に日本の人気はものすごく、当時はどこへ行っても曲がかかっていたような記憶があります。こういう脳天気な音が似合う世相でもありましたしね。


Dead Or Alive - You Spin Me Round(Like A Record)


これはそんな彼らの中でも最大のヒット曲ですね。とにかく派手で煌びやかな、究極のダンスチューンです。
今改めて聴いてみても、徹頭徹尾ただのユーロビートなんですが、ピート・バーンズのヴォーカルは骨太い感じで艶があって、なかなかいい声しているのに気がつきました。ちょっとした収穫かも。
この曲は85年にリリースされた2ndアルバム『Youthquake』からの先行シングルで、ビルボードでは11位、全英では1位を記録するという大ヒットとなりました。
また03年には再レコーディングされて全英23位の中ヒットとなり、06年にはオリジナル盤が再リリースされて全英で5位を記録するなど、非常に根強い人気を持った曲です。


その後彼らはストック・エイトキン・ウォーターマンと袂を分かち、英国での人気も低下していきますが、日本での人気だけは相変らずで、アルバムがオリコンで1位になるなどセールスが好調でした。
そのうちそのアルバムも日本でしかリリースされなくなるなど、90年代は彼らにとって不遇の時代だったのですが、03年には『You Spin Me Round』を再レコーディングして人気を博し、復活に成功したのは前述の通りです。現在も元気に活動しているみたいで、たびたび来日しています。


ピート・バーンズは、同じ女装のヴォーカリストということで、当時カルチャー・クラブのヴォーカリストボーイ・ジョージと比較して語られることが多かった人です。
しかしこの頃のボーイ・ジョージセクシャリティについては寡黙だったのに対し、ピート・バーンズは一貫して雄弁でした。彼はデビュー前から妻帯していましたが、バンド・メンバーのスティーヴ・コイ(パーカッション)とも同性愛関係にあるということ、そして妻のリンとスティーヴの3人で同じ家に一緒に暮らしていることなどを、メディアであけすけに語っていました。よくそんな形で生活が成り立つものだと、当時感心し同時に呆れもしましたが、とりあえず当時の奥さんの心境はどうだったんだろ。
そして06年にはその妻と離婚し、当時交際していたボーイフレンドのマイケル・シンプソンとの婚約をテレビの生番組で発表しましたが、2年後にはあえなく破局。「ゲイの結婚はうまくいかない。結婚するなら相手は女性のほうがいい。男は相手に性的満足ばかりを求め過ぎる」とのコメントを残しています。
またピートは自分の身体をいじるのにも熱心で、コラーゲン注射によって唇を極端なまでに分厚く整形する一方で、ハードなトレーニングによって華奢だった肉体をたくましく作り変えるなど、故マイケル・ジャクソンばりに変貌を遂げていきました。肉体改造するぶんだけ、マイケルより美への執念は強いかもしれませんね。
しかしどうみても顔をいじるほうは失敗しているみたいです。



この顔が



こうなりましたから。
特に唇は「厚い」と言うよりもはや「太い」ですからね。昔は夏木マリみたいな風貌だったのが、今は清川虹子テイストに変わっているのには驚いてしまいます。
結局彼は唇に打ったジェル注射が原因で炎症を起こした結果、肉芽腫を発症して生命の危機にも瀕することとなり、その治療費を捻出するために貯金も豪邸も楽曲の著作権もすべて失うこととなりました。
ただ何が幸いするかは分からないもので、この状況に興味を持ったテレビ局に誘われて、番組に出演したことをきっかけに芸能界に復活を果たすことになりました。前述のように『You Spin Me Round』が再ヒットし、アルバムも全英5位のヒットを記録するなど、ミュージシャンとしては往年の輝きを取り戻すことに成功したようです。

*1:80年代初期にナイトクラブで人気の高かったエレクトロニック・ダンスミュージックの一種。ベースがハイハットのような使われ方(曲でテンポを刻むように低音と高音が交互に並ぶ)をする事が多く、シーケンサーで組まれたエネルギッシュでスタッカートの効いたシンセサイザー音が使用され、ドラムマシンのクラップ音も頻繁に使用される。