ザ・ホワイト・ストライプス

こんばんは。
一昨日限定的な職場復帰ということで、とりあえず仕事に行ってきたんですけど、まだ欝が良くなってないのかしんどくて。
来週からは少しずつ出勤ということになるんですが、こんな調子でちゃんと復帰できるのか心配になります。
どうせならマヤ暦がどうのこうので、昨日世界が滅びちゃえば楽になれたのに。いや割とオカルト系には詳しいほうなんで、あれがでたらめなのは分かってましたけど。
などと後ろ向きなことを言っていても仕方ないので、なるべくゆるゆると社会復帰を目指したいと思っております。


そんなこんなでまだ脳内はハード路線なので、今回は21世紀初頭に活躍したザ・ホワイト・ストライプスを取り上げてみたいと思います。
ザ・ホワイト・ストライプスは、97年にアメリカのデトロイトで結成された、ジャックとメグのホワイト姉弟だけで結成されたデュオです。
実はジャックとメグは姉弟ではなく元夫婦で、ネットに婚姻届と離婚届が流失していますし、当のジャックもインタビューで夫婦であったことを認めているのですが、バンドの活動上は姉弟という設定を崩していません。
彼らの特徴はギターとドラムのみというミニマムな編成でありながら、ロックの初期衝動を見事に表現した荒々しくもフィジカルな音を出すところでしょうか。
ライブではサポート・ミュージシャンもプログラミングも使うことなく2人だけで音を出しているうえ、セットリストすらあらかじめ決めることなく、ステージでお互いに無言で意思疎通しながら曲目を変えていくそうです。
また彼らはアナログに対する拘りが非常に強く、機材も楽器も70年代以前のものを好んで使用しているとか。おまけにジャックは一貫して、音楽をデータでもなくCDでもなくレコードで聴くことをファンに勧めています。そういうところからも彼らの姿勢を垣間見ることができると思いますね。
彼らのパンク・ロック、ブルース、カントリー・ミュージックをベースにしたガレージロックは非常に高く評価されていて、2000年代のロックを語る上で最も重要なグループの一つとされています。
特にジャックのギターは、その初期衝動溢れる激しいプレイが他の現代のギタリストとは別格レベルだと思います。メグのドラムは実にシンプル、と言うか普通に下手なんでしょうけど、そこが独特のグループとなっている面もあって、サウンドの重要な一翼を担っています。
日本ではガレージロック・リバイバルというとザ・ストロークスが高く評価されていて、ザ・ホワイト・ストライプスのほうはその泥臭さが災いしているのか、やや知名度が低かったりするんですが、個人的にはストライプスの芯の太い音のほうが好きでしたね(むろんストロークスも好きですが)。


彼らに日が当たるようになったのは、01年の3rdアルバム『White Blood Cells』からでしょうか。このアルバムは英国でまず火が付き、本国に逆輸入される形でスマッシュヒットしました。
これにより彼らは、ガレージロック・リバイバルの旗手として注目されていくようになります。


The White Stripes - Fell in Love with a Girl


『White Blood Cells』からのシングル。全英21位を記録しています。
もろに60年代後半、70年代前半くらいのガレージ系の音のまんまですが、こういうルーツを隠さないところは好きだったりします。ヴォーカルがちょっとロバート・プラントっぽいのはご愛嬌ですね。
レゴブロックを組み合わせて作った、斬新なPVも印象的です。


The White Stripes - Seven Nation Army


03年リリースの4thアルバム『Elephant』からのシングル。全英7位のヒットとなったほか、ビルボードでも76位に入りました。
シンプルだけど豪快でラウドなギターリフと、渋くて印象的なベースライン、そして間がたっぷりのドラムから作られる独特のグルーヴ、これが何といっても素晴らしい00年代を代表する名曲です。
特にリフがここ十数年でもぶっちぎりなくらいにカッコいいですね。何故か無性にギターが弾いてみたくなります(弾けないけど)。
この曲は04年にグラミー賞のベスト・ロック・ソング賞を受賞しています。またサッカーW杯06年ドイツ大会にて、優勝したイタリアチームが決勝戦終了後に合唱したことでも有名です。
とにかくPVがものすごくインパクトがあるんで、この曲の動画だけはぜひ見てほしいですね。


The White Stripes - Black Math


これも『Elephant』収録曲。
単純だけどノリの良いリフのセンスに脱帽します。ところどころツェッペリンっぽいのが、どうにも自分好みだったりして。


The White Stripes - Jolene


04年にリリースされたシングル。全英16位を記録しています。
この曲はカントリーの女王ドリー・パートンのカバーですね。オリビア・ニュートン・ジョンも歌ってましたから、古い洋楽ファンにはお馴染みかと思います。
エモーショナルな泣きのナンバーで、原曲に比べるとかなり激しい感じで揺れ動く感情を聴かせてくれます。
もともとこの曲はジョリーンという美しい女性に対して、夫を奪わないでくれって懇願する歌なんですが、こういう女々しい曲を男が歌うと、また別の味が生まれてくるんですよね。


The White Stripes - Blue Orchid


05年リリースの5thアルバム『Get Behind Me Satan』からのシングル。全英9位、ビルボードでは43位を記録しています。
叩きつける硬質なドラムと、ジャックのイノセントだけど猥雑なヴォーカル、そして体を八つ裂きにするようなギターリフがかっこよ過ぎる、痛烈なロックンロールです。
特にギターは素晴らしいですね。あのジミー・ペイジはインタビューで、ジャックを近年のギタリストの中ではNo.1の存在であると語っているほか、ジェフ・ベックもジャックをギタープレイヤーとして高く評価しているんですが、これを聴くとそれも納得です。
ちなみにPVの監督はマリリン・マンソンの『The Beautiful People』などを撮ったフローリア・シギスモンティ、出演している女優はジャックの妻である英国のスーパーモデル、カレン・エルソンです。


The White Stripes - Icky Thump


07年の6thアルバム『Icky Thump』からのシングル。全英2位、ビルボードで26位を記録し、彼ら最大のヒットとなっています。
荒々しくもヘヴィなリフが印象的な、ツェッペリンを連想させる(前回からこればっか言ってますが)ブルース・ロックですね。
そこにジャックの鬼気迫るヴォーカルが絡み、特異な緊張感といかにもロックらしいダイナミズムが生み出されており、バンドの底知れないパワーを感じさせます。


順調に活動していていたザ・ホワイト・ストライプスですが、『Icky Thump』以降は新譜を出すことなく、11年には解散してしまいます。
理由は公式には「今まで築き上げてきた自分たちの音楽・アートを最高の形で残したいため」とされていますが、今年になってからのジャックのインタビューによると、実際はメグがザ・ホワイト・ストライプスの解散を望んだのが原因らしいですね。
ジャックによると、ザ・ホワイト・ストライプスをコントロールしていたのはメグだったそうです。傍から見るとジャックの才能が圧倒的で、メグは付け足しくらいに見えたので、これは実に意外でした。
現在メグは音楽活動をしていないようですが、ジャックはソロで活動しています。ジャックはザ・ホワイト・ストライプスでの活動に未練たらたらな感じなので、メグの動向次第では再結成もあるかもしれません。