ゴリラズ

どうも、皆様いかがお過ごしでしょうか。
こちらは少しずつ仕事にも慣れてきて、ゆるゆると社会復帰への道を辿っております。
肉体的には疲労がいっぱいなんですが、食欲もありますし睡眠も薬さえ飲めば大丈夫なので、とりあえず何とかなりそうかな、という気はしています。
職業柄正月もお仕事なんで悲しいですが、体調を崩さないように気をつけて暮らしていきたいと思っております。


今回取り上げるのはゴリラズです。最近気に入ってて結構聴いてるんですよ。
ゴリラズは2D(ヴォーカル)、マードック・ニコルズ(ベース、リーダー)、ヌードル(ギター)、ラッセル・ホブス(ドラムス)の4人のアニメ・キャラクターで構成された、架空のカートゥーンバンドです。



前列がヌードル。後列が左からマードックラッセル、2D。


こう書くと子供騙しの変な企画ものだと思われてしまいそうですが、楽曲面を担当しているのはブラーのデーモン・アルバーン、ヴィジュアル面を担当しているのは『タンク・ガール』の作者(『タンク・ガール』は映画しか見てないけど、アレな内容だったのでどう評価していいのか分からん)で、パルプの『Common People』のアートワークも担当していたジェレミー・ヒューイットですから、中の人はこの手のプロジェクトとしては異様なくらいの実力者だったりします。
アルバーンとヒューイットは90年代後半の一時期共同生活をしており、そこからこの企画のアイディアが生まれたのだそうです。そういう遊び心を現実化してしまうのは、英国ならではのことなのかもしれません。
また企画の面白さについ目が行きがちですが、もちろん作品のクオリティは高く、ヒップホップを基調としつつも様々なジャンルを取り込んでいく音楽性も、ヒューイットの手がけるPVも大変面白いものとなっています。


ゴリラズは00年に正体を明かさないままEPをリリースし、口コミで噂が伝わっていきます。
そして01年にデビューアルバム『Gorillaz』をリリース。故イブライム・フェレールチボ・マットの羽鳥美保などが参加したこのアルバムは、英国で1年以上チャートインするなどして700万枚以上を売り上げ、企画ものとしては異例の大ヒットとなりました。
何しろあのギネスブックに、「最も成功した架空のバンド」として認定されたくらいですから、その売れっぷりが想像できるのではないでしょうか。
ちなみに『Gorillaz』はCDをパソコンにセットするとホームページにアクセスでき、そこから壁紙やスクリーンセイバーなどが手に入る隠し特典がありました。こういう戦略も今時な感じですね。


Gorillaz - Clint Eastwood


01年リリースのシングル。全英4位。ビルボード57位。
アルバーンの色がかなり濃い、暗めのヒップホップになっています。
最初はあまり興味なかったんですが、何回か聴いているうちに癖になってきました。気だるさが良いんですよね。
ちなみに彼らには『Dirty Harry』というタイトルの曲もあります。よっぽどクリント・イーストウッドが好きなんでしょう。


彼らは最初は覆面ユニットとして活動するつもりだったようで、ライブでもスクリーンに映し出されたアニメ映像に合わせ、ステージ奥でバンドが姿を隠したまま演奏するというスタイルを採っていました。
00年のサマーソニックにも深夜帯に彼らは出演しているんですが、その時もこのスタイルで演奏しています。当時は大規模なライブ活動は想定していなかったのでしょう。そういうところも覆面プロジェクトらしいです。


その後彼らは散発的にシングルをリリースしていましたが、それほど大きい動きはありませんでした。


Gorillaz - Lil' Dub Chefin


02年リリースのシングル。全英73位。
ヴォーカルはどこかで聴いたことあると思ったら、元スペシャルズのテリー・ホールでした。この朝帰りの若旦那の鼻歌のような、のほほんとしたところはまさしく彼ですね。
テリーがメインだからというわけではないのでしょうが、サウンドのほうもスカを取り入れていて、何となくスペシャルズっぽい音になっています。


そんなわけで単発の企画なんだろうと思われていたゴリラズですが、05年に突然活動を活発化させ、2ndアルバム『Demon Days』をリリースします。
ネナ・チェリー、デニス・ホッパーデ・ラ・ソウルハッピー・マンデーズのショーン・ライダーらが参加したこのアルバムは、全英1位、ビルボードでも6位を記録する大ヒットとなり、800万枚を売り上げています。


Gorillaz - Feel Good inc.


05年リリースのシングル。全英2位。ビルボード14位。オルタナティブ・チャートでは1位の大ヒットを記録しています。
iPodのCMソングにも使われたこの曲は、全英では11ヶ月もチャートインするなど高い評価を受け、彼らの代表曲として親しまれています。
アルバーンのゆるゆるなヴォーカルの醸し出すだるさと、デ・ラ・ソウルのラッピングと印象に残るベースラインが作り出すシャープさのコントラストが素晴らしいですね。
余談ですが、2、3年前にAKB48前田敦子さまぁ〜ずの番組にゲスト出演した際、エンディングでこの曲をリクエストしていました。
当時別に彼女には興味なかったんですが、選曲を見てそのセンスを見直した覚えがありますね。


Gorillaz - Dare


これも『Demon Days』からのシングル。全英1位の大ヒットとなっています。ビルボード87位と振るいませんでしたが、ダンス&クラブチャートでは4位を記録しています。
軽快なビートに乗せたヒップホップ調のトラックと、しゃれたポップ・センスが印象的な曲です。
全体的な雰囲気がふわふわしているのは、ハッピー・マンデーズのショーン・ライダーが参加しているせいもあるのかもしれません。


この頃になるとゴリラズは、単なるサイド・プロジェクトの域を超えたレベルになっていました。何しろアルバーンのやっていたブラーよりよっぽど売れましたし。
ライブもかつてのようなアニメ映像は使わなくなり、何十人もの演者をステージに配したうえに客演のミュージシャンが入れ替わり立ち代わり登場するという、大掛かりなものになっていきました。
そんなこんなでどんどん肥大化していき、その活動が多くの人に注目される中、彼らは10年に3rdアルバム『Plastic Beach』をリリースします。
前作に引き続いてデ・ラ・ソウルが参加したほか、あのルー・リードスヌープ・ドッグ、元ザ・クラッシュのミック・ジョーンズとポール・シムノン、ザ・フォールのマーク・E・スミスなど、メジャーどころからカルト的存在まで様々なゲストをそろえたこの作品は、全英とビルボードで2位を記録する大ヒットとなりました。


Gorillaz - Stylo


10年リリースのシングル。ビルボードのロック・デジタル・チャートで12位を記録しています。
ボビー・ウーマックモス・デフのヴォーカルをフィーチャーした、壮大なスケール感を持つソウル・トラックです。
サウンド面でのゲストも豪華ですが、何よりPVにあのブルース・ウィリスが登場しているのがすごいですね。
なおこの曲はYouTube上で公開後24時間で90万回以上の再生数を達成し、当時の初日再生回数の過去最多記録を更新しています。


ゴリラズは翌11年に、iPadのみで音源を作成したアルバム『The Fall』をリリースしましたが、全英12位、ビルボードで24位と中ヒットに終わりました。
どうもアルバーンのゴリラズに対するモチベーションが低下しているようで、最近は今後の活動について意味深な発言を繰り返しています。
続けるにしても休止するにしてもアルバーンの腹ひとつなんですが、ゴリラズはいいプロジェクトだと思うので、何らかの形で作品を出してくれたらな、と個人的には思っています。


【追記】

今年の更新はこれで最終になります。
読んで下さっている皆様、こんな自己満足だけで成立しているような、時代もジャンルもばらばらな音楽ブログにお付き合い頂いて、本当にありがとうございます。
来年もゆるゆると更新していくつもりであります。たまに現代の音を取り上げつつも、基本は懐かし路線でいくことになるでしょう。書いている側の引き出しがそっち方面しかないですし。
気が向いたときに読んで頂いて、往時を思い出して追憶に耽ったり、昔はこんな音楽もあったんだと知って頂けたりすれば、こちらとしても幸いです。
来年もどうぞよろしくお願い致します。それでは良いお年を。