サウンドガーデン

皆様いかがお過ごしでしょうか。
自分は来週半ばから少しずつ仕事に復帰することが決まったんですが、決定後何故かヘヴィな音ばかり聴くようになってしまって。
これが自分の心の中を反映しているのだと思うと、ちょっと笑えないものがありますけどね。
あまり後ろ向きだとかえって良くないと思うので、少しずつポジティブな方向に進んでいきたいと思っております。


今回取り上げるのはまたまたヘヴィで申し訳ありません。サウンドガーデンです。
サウンドガーデンは90年代初頭に登場したグランジの先駆け的存在で、ニルヴァーナパール・ジャムなどとともに商業的な成功を収めたバンドですね。
ツェッペリンブラック・サバスを混ぜ合わせて、ヘヴィでグルーミーなうねりを取り入れたそのサウンドは、メタルとグランジオルタナの架け橋のような存在と言えるかもしれません。
日本ではあまりウケませんでしたが、本国アメリカでの存在感は非常に大きく、ニルヴァーナカート・コバーンが「こんな奴らに敵うわけない」と言うほどでした。


彼らは84年、ヴォーカルのクリス・コーネルを中心としてアメリカのシアトルで結成されています。
シアトルは後にグランジ・ムーブメントで活躍するバンドを多く輩出するのですが、彼らはその中でもメルヴィンズらと並ぶ古株で、80年代半ばから精力的にライブ活動をしていました。
またサブポップやSSTといったインディー・レーベルを転々とし、そこから何枚かのシングルとアルバム1枚もリリースするのですが、その時点でメジャーからその音楽性を注目されていたようで、89年にはA&Mからアルバム『Louder Than Love』でメジャーデビューを果たすこととなります。
いち早くメジャーに進出したため、他のバンドからはセルアウト*1と非難を浴びることも多かったのですが、これは先駆者につきものの苦難といったところでしょうか。
実際彼らを非難したバンドの多くが、後にグランジブームに乗ってどんどんメジャーと契約して表舞台に出てきましたからね。後にコーネルはこの状況を皮肉ってましたっけ。


彼らの成功は91年リリースの3rdアルバム『Badmotorfinger』からでしょうか。
このアルバムはビルボードで39位を記録し、初のトップ40ヒットとなりました。また英国でも39位を記録しています。
また第34回グラミー賞で、最優秀メタル・パフォーマンス部門にもノミネートされましたが、惜しくも受賞は果たせませんでした。


Soundgarden - Jesus Christ Pose


『Badmotorfinger』からのシングル。全英30位を記録しています。
70年代ハードロックばりに重たく疾走するサウンドに、コーネルのハイトーンヴォーカルが絡み、最初聴いたときはツェッペリンの未発表曲かと思いました。
終始高い緊張感とテンションを保ち続け、6分間飽きさせないところにも、バンドの高い力量を見て取ることができるかと。


彼らの絶頂期は94年の4thアルバム『Superunknown』でしょうか。
このアルバムはビルボード、オーストラリア、ニュージーランドで1位を獲得し、英国でも4位になっています。
楽曲はバラエティに富んでいて粒揃いですし、しっかり練りこまれたサウンドも圧巻で、彼らの最高傑作と呼んで差し支えないでしょう。


Soundgarden - Black Hole Sun


『Superunknown』からのシングル。全英12位を記録したほか、ビルボードオルタナチャートでも2位を獲得しています。
比較的明瞭でキャッチーなメロディーを持ったバラードで、彼らの代表曲と言っていいでしょう。
激発を抑えたサウンドは渋さすら感じるほどですが、コーネルのヴォーカルは静かなる狂気を秘めています。70年代前半の音が好きな人にとっては堪えられないものがあるでしょうね。
また妙にカラフルで鮮明なPVは、グラミー賞の最優秀ハード・ロック・パフォーマンス部門を受賞しています。


Soundgarden - Spoonman


同じく『Superunknown』からのシングル。全英20位、ビルボードオルタナチャートで9位となっています。
変拍子を叩くリズミカルなドラムと、ストレートなギターリフ、そして間奏でのベースのグループ感、コーネルのシャウトが、70年代ハードロック的なカタルシスをもたらしてくれる名曲です。
またこの曲はグラミー賞の最優秀メタル・パフォーマンス部門を受賞しています。正直な話、グラミー賞におけるハード・ロックとメタルの定義が良く分からないですが、とにかく評価も高かったというのは事実ですね。
ちなみに「Spoonman」とはドラッグの売人のことです。固形のドラッグをスプーンに乗せて、火で炙って溶かすことからついたスラングらしいです。


Soundgarden - Pretty Noose


96年の5thアルバム『Down on the Upside』からのシングル。全英14位、ビルボードオルタナチャートで2位を記録しています。
またアルバムもビルボードで2位、全英で7位に輝くなど、前作には及ばないまでもかなりのヒットとなっています。
マグマのようなうねりを持ったダークな曲ですが、サビは不思議とキャッチーで、彼らの曲の中ではかなり聴きやすい部類だと思います。
コーネルのヴォーカルはまるでロニー・ジェイムス・ディオみたいで、まんまハードロックなのが面白いですね。


しかし97年、絶頂期で彼らは解散してしまいます。
「やれることをやり遂げた」との声明を残していますが、実際は多忙な生活に嫌気がさしたメンバーが多く、そのため人間関係が破綻したのが原因のようです。
解散後コーネルは、ザック・デ・ラ・ロチャの抜けたレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのメンバーと合体し、01年にオーディオスレイブというバンドを結成しました。
このバンドは2枚のアルバムを発表し、2ndアルバムがビルボードで1位に輝くほどの成功を収めたのですが、他のメンバーが07年になってレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの再結成に動き出したため、それを聞いたコーネルが脱退して空中分解しています。
またドラムのマット・キャメロンは、現在はパール・ジャムに加入して活躍しています。
なおサウンドガーデンは一昨年に再結成し、ロラパルーザのヘッドライナーを務めるなど精力的に活動しています。
今年リリースしたアルバム『King Animal』はビルボードで5位を記録するなど、全盛期には及ばないまでもかなりの人気を保っているようですね。

*1:商業的に自分の音楽を売ること。ネガティブな意味に使われる。