テレヴィジョン

昨日名前を出したので、今回はテレヴィジョンです。
彼らはニューヨーク・パンクの中でも、独自の光彩を放っていたバンドです。活動期間は短く、また商業的にも成功したとは言えませんが、文学的な色彩の濃い歌詞や、異様なテンションの演奏などは、今日においても変わらぬ高い評価を受け続けています。
中心人物はヴォーカルとギター担当のトム・ヴァーレイン。「ヴァーレイン」とはフランスの詩人ヴェルレーヌ*1の綴りの英語読み、というあたりに、彼の資質が伺えると思います。


Television - Marquee Moon


1stアルバム『Marquee Moon』のタイトルトラックで、彼らの代表曲。緊張感溢れる演奏が楽しめます。
ちょっと長いのが玉に瑕ですが、好きな人にとっては10分があっという間なんですけどね。まあそのへんは好みもあるんで。
しかしトムの引きつったような音色のギターが凄いです。次々溢れるフレーズを、フィルター無しで弾いているという感じ。
それと今聴くと意外と切なく感じられるのが不思議。


Television - Foxhole


珍しい当時のスタジオライブ。
78年の2ndアルバム『Adventure』からのシングル曲です。テレヴィジョンらしいうねりのある曲で、過激な歌詞の内容をストレートにアレンジしています。
この番組が英国のものであることからもわかるように、彼らは本国よりもむしろ英国で評価が高かったバンドでした。


彼らは2ndアルバム発表後、「モビー・グレープ*2のように満月の夜に解散したかった」とのトムの発言とともに解散します。
後にトムはこの発言を否定していますが、僕はかっこいいからこれでいいんじゃないかなんて思ってるんですけど。
その後彼らは92年と01年に再結成し、現在も活動を続けています。

*1:フランスの詩人。放蕩無頼でデカダンな生活を送りながら、音楽性と暗示的表現に富んだ詩を書き、象徴派の始祖とされる。アルチュール・ランボーとの放浪生活は有名。

*2:アメリカのサイケデリック・ロックバンド。フォーク、カントリー、ブルース、R&B、サイケデリックと多彩な要素が凝縮された音楽性と、3本のギターと3声コーラスが特徴の高度な演奏力を持ち、多くのミュージシャンに影響を与えたが、シングル5枚同時発売や盛大なリリース・パーティなどの誇大宣伝が逆効果に作用し、商業的には大失敗して69年に解散。その後何度か再結成するが、その度に裁判沙汰に巻き込まれている。はっぴいえんどの元ネタでもある。