前回の続きです。2回連続で同じバンドについて書くというのは初めてですが、それくらいの思い入れはありますので。
2ndアルバム発売後、モノクローム・セットは急速にモンド感を薄め、ストレートな音作りを目指す路線に転じていきました。
それはこれまでの彼らの持ち味を失わせることにもなり、リスナーとしては一抹の寂しさが拭えませんでしたが、代わりに歌ものとしての完成度が格段に向上し、なかなかポップなサウンドを聴かせてくれるようになります。
The Monochrome Set - Jet Set Junta
82年リリースの3rdアルバム『Eligible Bachelor』(邦題は『カラフル・モノトーン』。Wikipediaにある『カラフル・モノクローム』というのは誤記。)からのシングル。
爽快かつ洒落た曲調で、彼らの新境地を示してくれた曲です。アルバムではマカロニ・ウエスタンのような口笛から軽いギターのカッティングにつながるという始まり方で、なかなかカッコよかったですね。
PVでは演奏がいかにもやる気なさそうで、そこが彼ららしいっちゃらしいかも。
The Monochrome Set - Jacob's Ladder
85年リリースの4thアルバム『Lost Weekend』からのシングル。
60年代風のシャッフルビートとロカビリーの雰囲気を持ったギター、彼らにしては珍しい陽気で徐々に上がっていくような展開が印象的です。
The Monochrome Set - Wallflower
これも『Lost Weekend』からのシングル。
かつてのひねくれぶりはすっかり影を潜め、思いっきりポップなナンバーになっています。
切ないメロディーの完成度は高く、もうどこに出しても恥ずかしくないギターポップなんですが、同時にちょっと物足りなさを感じたのも事実だったりして、ちょっと複雑な気分になります。
しかし彼らは相変らずヒットには恵まれず、そのうちバンド内での軋轢が激しくなっていき、『Lost Weekend』を最後に一時解散してしまいます。
90年代に再結成してからはネオアコ界で持て囃されますが、正直無難過ぎてつまらなくなった気がして、少し聴いただけで止めてしまいました。やっぱり初期のキッチュなB級感を知っていると、その後のネオアコ路線はどうも物足りないんですよね。
バンドは現在も元気に活動中で、今年も来日しています。