カーカス

ナパーム・デスの分派をもう一つ、「リバプールの残虐王」ことカーカスです。
ナパーム・デスのギタリストだったビル・スティアーを中心に結成され、初期は本家に近いグラインドコア*1を演奏していましたが、スウェーデン出身のギタリスト、マイケル・アモットの加入後は泣きのギターソロを加え、メロディックデスメタルの元祖的存在となりました。
特徴は歌のテーマがグロテスクで非人道的なことと、複雑な構成のギターリフが多く暴力的な割に意外とテクニカルといったところでしょうか。
あと初期の邦題は『内臓大爆発』とか『硫酸どろどろなんでも溶かす』とか『炭化眼電球』とか『電子妊娠料理』とか『粘液膿性排出物』とか、奇怪なものばかりだったのも特筆すべきことでしょうか。
ロディックとはいえ基本はうるさいので、聴くときは自己責任でw


Carcass - Heartwork


93年にリリースされたアルバム『Heartwork』に収録されている、彼らの代表曲。
アグレッシヴでブルータルなリフと、エモーショナル極まりないツインリードの融合は、さすがメロデスの元祖と呼ぶにふさわしい。
特に漂う哀愁味と緩急織り交ぜた構成は、とてもナパーム・デス系列のバンドとは思えないくらいです。
この流麗なギターソロは日本人の感性には合ったようで、この曲の入ったアルバムはオリコンのアルバムチャートにも入るなど、このジャンルにしては高いセールスを記録しました。
その後カーカスは95年に一度解散しましたが、07年に再結成し、来日公演もしています。

*1:ハードコアのジャンルの一つ。最大の特徴はブラストビートと呼ばれる、スネアやシンバルを高速で叩くドラムビート。ヴォーカルはデスボイスで、曲は1分前後の短い曲が多い。