エイス・ワンダー

はい、こんばんは。皆様いかがお過ごしでしょうか。
自分はゆるゆると療養生活です。実に起伏のない毎日を送っています。
特に何ということもないのですが、一応欝病なので時々ひどく落ち込んだりもしています。
でも何となく食事とかも出来てるんで、多分大丈夫なんじゃないのかと漠然と思ってはいるのですが。
とりあえず社会復帰に向けて、なるべく前向きにいこうと考えております。皆様もご自愛下さいませ。


さて、前回から引き続いてのバカっぽいポップ路線ということで、今回はエイス・ワンダーです。
リアム・ギャラガーの元妻でもある女優パッツィ・ケンジットのいたバンド、と言えば、思い出す人もいるのではないでしょうか。
パッツィは本名をパトリシア・ジュード・フランシス・ケンジットといい、68年に英国ミドルセックス州ハウンズローで生まれています。父親はギャングで、パッツィが生まれたときには獄中にいたというすごいエピソードもありますね。
彼女は4歳の時ロバート・レッドフォード主演の『華麗なるギャツビー』にパメラ役で出演し、以後子役女優としてCMやテレビなどで活躍しました。その傍らロックバンドの追っかけとしても有名だったとか。
そんなキャリアのある彼女が何を思ったのか、兄であるジェイミー・ケンジット(ギター)が遊びでやっていたバンドにヴォーカルとして加入したからさあ大変。
あっという間にメジャーと契約し、85年に『Stay With Me』でデビューすることになってしまったのですから、世の中何がどうなるか分からないものです。


Eighth Wonder - Stay With Me


エイス・ワンダーのデビュー曲。当時パッツィは17歳でした。
本国では65位と惨敗しましたが、何故かイタリアではブレイクして1位を獲得しています。また日本でもオリコンで30位くらいには入った記憶がありますね。
曲はちょっとエレポップ風味をまぶしたアイドルソングという感じで、割とありきたりではありますが、PVはパッツィのキュートな魅力を存分に見せていて良い出来だと思います。
当時宿直で職場に泊まっているとき、深夜の『オールナイトフジ』という番組で彼女たちのスタジオライブを観たのを覚えていますね。
その時は音楽よりも何よりも、とにかくパッツィのスタイルの良さ、特にミニスカートから伸びる綺麗な足に、「白人ってやっぱり足が長いな」とひたすら感心しましたっけ。


Eight Wonder - When The Phone Stops Ringing


87年リリースの4枚目のシングル。邦題は『浮気なテディ・ボーイ』。
これも本国ではまったく売れなかったのですが、日本ではノエビア化粧品のCMに使われてヒットしました。
曲調もパッツィの格好も、ブロンディの二番煎じみたいなんですが、パッツィの若さでそこはカバーしていますね。
ちなみに歌詞を書いているのは、エルトン・ジョンの曲の多くを出かけている作詞家バーニー・トーピンです。意外な大物の登場にちょっとびっくり。


Eighth Wonder - I'm Not Scared


88年リリースのシングル。邦題は『モンマルトルの森』。
これまでは日本では売れても本国ではさっぱりだったんですが、この曲はパーティーで知り合ったペットショップ・ボーイズの二人に曲を提供してもらった甲斐があったのか、全英7位のヒットとなっています。
今までのキュートな魅力を生かしつつも、ダンス・ミュージックとしてうまく昇華されていて、このへんはさすがペットショップ・ボーイズという感じでしょうか。
それとこれはパッツィが2年前くらいに受けたインタビューで言ってたんですが、当時ペットショップ・ボーイズの二人はエイス・ワンダー抜きで、パッツィと組んでアルバム1枚を丸ごと作りたいとオファーしていたとか。
パッツィは兄のジェイミーに気兼ねしてこれを断ったということですが、今考えるともったいない気がしますね。アイドルとハウスの融合で面白い作品が出来たかもしれませんし。
まあそうなるとお兄さんの仕事がなくなっちゃうわけですから、パッツィの気持ちも分からなくはないですが、第三者的に考えるとやっぱり残念。


Eighth Wonder - Cross My Heart


これも88年リリースのシングル。全英13位のヒットとなるほか、ビルボードでも56位を記録しています。
キャッチーなメロディと、全体的に漂う80年代ユーロビートっぽさが、今聴くとなかなかいいなと思います。
のちにマルティカもこの曲をカバーしていますが、個人的にはこちらのバージョンのほうが軽さがあって好きですね。


だんだん本国でも売れるようになってきたエイス・ワンダーでしたが、バンドの終了は唐突にやってきました。
パッツィが女優として本格的にハリウッド進出を目指すこととなり、バンドでの活動が難しくなると、他のメンバーはあっさりと契約を切られてお払い箱になってしまったのです。
もともとパッツィありきのバンドでしたから、彼女がいなくなったら他のメンバーにはまったく存在価値はないわけで、仕方ないんですけど世の中は厳しいですな。
その後のメンバーのことについては、調べても一切分かりませんでした。一般人に戻ったんでしょうか。


バンドが活動停止した後、パッツィは映画『リーサル・ウェポン2/炎の約束』でメル・ギブソンの恋人役を演じています。のちにレンタルで観ましたが、ヌードを披露した挙句あっさり殺されていた記憶しかないです(苦笑)。
その後もウディ・アレンの作品等いくつかの映画に出ていましたが、ヒット作に恵まれずだんだん活動は尻すぼみになり、やがて英国に戻り現在はテレビ番組で活躍するようになります。
彼女について特筆すべきは女優業ではなく、むしろその恋愛遍歴の華麗さでしょうか。現在までに4度の結婚・離婚を繰り返しているのですからすごいです。
お相手は最初はビッグ・オーディオ・ダイナマイトのダン・ドノヴァン、次がシンプル・マインズのジム・カー、三度目が元オアシスのリアム・ギャラガー、最後がDJで元ハイジ・ファンテイジーのジェレミー・ヒーリーです。元ロック・ミュージシャンの追っかけだったからなのか、全員がミュージシャンなのが泣けますね。
特にリアムとの結婚生活は、リアムがああいう人なのでかなりめちゃくちゃだったらしく、リアム自身があちこちで揉めてる様子を暴露していましたっけ。
パッツィはその他にも激太り、薬物中毒、整形手術などゴシップには事欠かない生活を送っており、すっかりスキャンダル・タレントとしての地位を獲得しているようですね。女の人は強いです。