トイ・ドールズ

何だか妙にだらけた気分で、ビールをゆるゆる飲みながら書いています。
もし今回の更新の内容が適当だったとしたら、それはビールのせいですので生暖かい目で見て頂ければ幸いです。
などと予防線を張りつつ今回もスタートです。


今回取り上げるのは、80年代前半に日本でも人気のあったトイ・ドールズです。
当時は子供向けのふざけたパンク・バンドとする向きもあったようですが、今考えるとメロコアやポップ・パンクと呼ばれる、一連のキャッチーでポップなメロディーを持ったパンク・サウンドのはしりと呼べる音だったんじゃないかと思います。


彼らは79年、英国のサンダーランドで結成されました。
初めは4人組だったのですが、数回のライブだけでヴォーカリストが脱退してしまい、以後はギタリストのオルガがヴォーカリストとなり、トリオ編成として活動します。
彼らの特徴は覚えやすいギターリフを多用した、軽快でポップなパンクサウンドと、人を食ったようなふざけた歌詞でしょうか。
普通パンクと言えば、社会に対する怒りやポリティカルなメッセージを歌詞にすることが多いのですが、彼らの場合は中心人物のオルガの経験に基づいた、ユーモラスな内容のものが多く、それだけでも当時のシーンでは突出していました。
そのせいでゴリゴリのパンクファンは、彼らのことをパンクとは認めないことが多かったのですが、その分パンクのクラスタに捕らわれることがなく、結果幅広い層への浸透を可能にしたのかもしれません。
時期もよかったんでしょうね。77年とかだったら間違いなくつまはじきにされていた音だと思うんです。ニューウェーブなどを経て、聴く側にも余裕や遊び心が芽生えてきたのが、彼らに幸いした面はあったはずです。


Toy Dolls - Nellie The Elephant


彼らの代表曲。邦題は『ネリーさんだ象!』。
この曲はもともとイングランドの古典民謡で、それをパンク調にアレンジして発売したものなのですが、82年にはインディーズで16位を記録するヒットとなります。
それだけではなく84年の11月に再録音され、テレビ番組のテーマソングとして使われると爆発的に売れ、全英で4位を記録したほか、ヨーロッパ各国でもヒットし50万枚以上を売りました。
イントロはなく、いきなりギター一本でセンチメンタルな歌が始まるという意表を突いた導入部から、その後一転して「うううううううううう」という雄叫びを経て、サビの部分で楽しく盛り上げるという面白い曲で、それでいてちゃんとパンクになっているのがいいですね。


Toy Dolls - Dig That Groove Baby


83年リリースの1stアルバム『Dig That Groove Baby』のタイトルナンバー。
性急ですがポップさを失っていない、いかにもトイ・ドールズらしいナンバーですね。オルガの子供みたいな不思議な声が印象的です。
テレ東で放送している『モヤモヤさまぁ〜ず2』のテーマソングとしても有名です。


Toy Dolls - Glenda And the Test Tube Baby


同じく『Dig That Groove Baby』収録曲。
ライブの定番曲ですが、今聴くとすごくメロコアっぽくて、その点時代を先取りしていたんだなあ、と思います。


その後彼らはインディーズに活動基盤を置き、ライブを中心とした活動に戻っていきました。
日本でも人気があるため、もう12回も来日してツアーを行っています。オルガはすっかり日本がお気に入りで、納豆とホッケを食べながらビールを飲むなど、思いっきり日本に馴染んでいるようです。
00年には一度活動を休止し、オルガは日本のロリータ18号のプロデュースを手がけたり、ディッキーズやアディクツのサポートメンバーとして世界を回るなど、自由な活動をしていましたが、03年には復帰し、奔放なスタンスで音楽シーンの表層とは無関係な活動を続けています。
現在までにオルガ以外のメンバーは頻繁に入れ替わっていますが(今まで在籍したドラマーが述べ14人、ベーシストが11人)、オルガのワンマンバンドゆえに基本的なスタイルにはまったく変化はなく、その楽しくビート感に満ちたサウンドでファンを楽しませているようですね。
今主流のポップなパンク・サウンドの確立に、彼らが果たした役割は非常に大きいわけで、もっともっとリスペクトされてしかるべきバンドだと思います。