ランドスケイプ

今回も体調が今ひとつなんで小ネタを一つ。前回よりさらに一発屋っぽい色合いの濃いランドスケイプです。
このへんになってくると、もう知っている人もほとんどいない気がするんで、ちょっと不安になってきますけど、そのへんは寛容に見て頂ければと思っております。


ランドスケイプは81年に2曲だけ英国チャートに入り、そのまま姿を消してしまった幻のエレポップ・ユニットです。
このユニットは、もともとはEasy Streetsなるフュージョンバンドのドラマーだったリチャード・ジェームズ・バージェスが、何を考えたのかいきなりシンセサイザーとメンバーの頭数を揃えておっ始めただけだったりします。
当時エレポップがチャートを席巻していたので、彼らも時流にちょっと乗ってみようと思ったのかもしれません。それにしても行動が極端ですが。


Landscape - Einstein A Go Go


彼らの2ndシングル。なんと全英5位の大ヒットになっています。
当時の感覚からしてもかなりチープな音だったんですが、脱力したユーモアとキュートさはありましたし、よく聴くとダブ的な音の処理をしている部分もあったりして、安っぽいのか手が込んでるのかよくわからない一曲です。
このPVは昔ミュートマかMTVかで観たことある気がしますが、古いSF映画のパロディのような前半部と、変なメイクと黒いビニールスーツで演奏している後半部のギャップがすごいですね。
どこかで「UK版ディーヴォ」という形容も見たことがありますが、言いえて妙なような全然違うような……。


Landscape - Norman Bates


彼らの3rdシングル。全英では40位を記録しています。
ダークであまりシングルっぽくない曲ですね。実験的なエレポップ、とでも言ったほうがいいのかもしれません。
PVはモノクロ映像を効果的に使っていて、なかなか見応えはあります。


彼らはアルバム『From The Tea-Rooms Of Mars...』(邦題は『火星のティールームから…』)もリリースし、全英16位に叩き込むなど順調なスタートを切ります。
しかしエレポップシーンは玉石混交の時代から淘汰の時代に入っていくちょうど真っ只中で、彼らもすぐに飽きられてしまい、結局「変な曲をヒットさせた一発屋」としてのみ名前を残すことになってしまいました。
エレポップというのはテクノロジーの進歩につれてどんどん変化していくもので、明らかに優れているメロディを書けるか、時代を常に先んじる実験精神を持っていないと生き残ることができなかったんですが、彼らにはどっちもなかったので、こうなるのも仕方なかったのかもしれません。
将来に見切りをつけた彼らは84年に解散します。不要になった電子機材をすべて、スロッビング・グリッスルに安値で売り渡したという、ちょっといいエピソードを残して。
解散後バージェスはフュージョン界に戻りましたが、85年にはニナ・ハーゲンのプロデュースもしているそうです。