今回はちょっとニューウェーブに戻って、日本ではマイナーなフラッシュ&ザ・パンをいきます。
フィータス、ニック・ケイブに続いてまたまたオーストラリアのミュージシャンなんですが、偶然です、多分。
英国でニューウェーブが勃興してから、各国でその影響を受けたであろう突然変異的なバンドが生まれました。
たとえばアメリカではディーヴォとかレジデンツとかがそうなんですが、オーストラリアでそういう存在を探すとすると、フラッシュ&ザ・パンがそれに当たるかと。
60年代から続くポップスの美味しいところを凝縮させつつも、テクノ的な感性も感じさせるのが、このグループの特徴です。
フラッシュ&ザ・パンは70年代後半に、ハリー・ヴァンダとジョージ・ヤングの二人で結成されたユニットです。
二人は60年代にはイージービーツというバンドに在籍しており、あのデヴィッド・ボウイやゲイリー・ムーアもカバーした『Friday On My Mind』(邦題は『我が心の金曜日』)を全英1位の大ヒットにした実績を持っています。とはいえ彼らは他にヒット曲はなく、世間では一発屋的な扱いを受けているのですけど。
このバンドが解散後、ヴァンダとヤングはコンポーザー&プロデューサー・チームとして独立したのですが、そのうち世界を席巻したニューウェーブ・ブームに乗るようにして、フラッシュ&ザ・パンを結成したのでした。
ちなみにヤングは、あのAC/DCのアンガス・ヤングとマルコム・ヤングの兄にあたるそうです。世界は狭い。
Flash & The Pan - Hey St. Peter
78年の1stアルバム『Flash & The Pan』(邦題は『映像』)からのシングル。この曲はビルボードで76位に上がる小ヒットを記録しています。
ちょっと古臭い感じのシンセによる音作りと、イコライジングされたトークっぽいヴォーカルが絡んで、ちょっと独特の世界を作り出しています。間奏のピアノやストリングスも迫力があっていい味出してます。
当時僕はこの曲をNHK-FMの『クロスオーバー・イレブン』という番組でエアチェック(懐かしい言葉だ)したんですが、結構気に入ってよく聴いていた記憶があります。
ただ日本ではさっぱり人気がなかったですね。見た目が冴えないせいもあって、プロモーションもし辛かったようですし。
Flash & The Pan - Waiting For A Train
82年の3rdアルバム『Hedlines』収録曲。
前年英国で出されたベスト盤が意外に売れたため、そこから改めてシングルカットされたところ全英6位のヒットとなり、彼らの名前を再びアピールすることになりました。
シンセとリズムボックスで構成されたシンプルかつチープなトラックをバックに、トークのようなヴォーカルが全編続くという奇妙なナンバーです。
Flash & The Pan - Midnight Man
85年の4thアルバム『Early Morning Wake Up Call』からのシングル。
アルバムは全編ベースとリズムを打ち込みに任せてあり、今聴くとさすがに時代は感じますが、ポップで良質な内容に仕上がっています。久々に日本盤も出ましたし。
この曲は全米ディスコチャートで19位に入ったこともある、古典的なダンスナンバーで、今でも時々リミックスされているようです。
この後彼らは87年に5thアルバムを出しますが、その後姿を消してしまいました。
おそらく本来のコンポーザー&プロデューサー・チームに戻ったんじゃないかと思うんですが、正確な情報を知りたいですね。