ブルー・ナイル

今日はスコットランドの至宝、ブルー・ナイルです。
と言っても、あまり知っている人はいないかもしれません。彼らはとにかく寡作なミュージシャンで、結成して30年で4枚のアルバムしか出していないのですから。
最初のアルバム『A Walk Across The Rooftops』が84年リリース、次の『Hats』が89年、その次の『Peace At Last』が96年、その次の『High』が04年というインターバルで来ていますから、次のアルバムは13年か14年くらいになるんじゃないでしょうか。


ブルー・ナイルは81年にスコットランドグラスゴーで結成された、3人組のユニットです。
彼らの特徴は生音とエレクトロニクスを巧みに同居させ、ロマンティックなメロディを紡いでいくことでしょうか。
楽曲は非常に練られています。活動ペースから考えてみて、曲作りを徹底的に詰めまくって、1曲に1年くらいはかけちゃうタイプなんでしょう。
忘れた頃に出るアルバムがどれも極上品なので、一度虜になると離れられないグループなのですね。


The Blue Nile - The Downtown Lights


89年にリリースされた傑作アルバム『Hats』からのシングル。
派手なヒットこそしませんでしたが、メランコリックな響きや、静かなる高揚と言うべき独特の感覚、ポール・ブキャナンのナイーヴでちょっと物憂げな歌声が心に沁みる一曲です。
音と音の隙間がこちらに考える余裕を与えてくれるのも、最近のポップ・ミュージックにはない味わいではないでしょうか。
この曲はむしろ一般よりミュージシャンからの評価が高く、後にアニー・レノックスロッド・スチュワートなどもカバーしています。


彼らは『Hats』発表後、ジュリアン・レノンやロビー・ロバートソン、マイケル・マクドナルドピーター・ガブリエルなど、数多くのミュージシャンの作品にも参加しています。
そういう出来事からも、彼らのミュージシャンシップの高さがうかがえるかと思います。


【追記】

ブルー・ナイルとしてのアルバムはまだ出ていませんが、ポール・ブキャナンは12年にソロアルバム『Mid-Air』をリリースし、13年5月には来日もしてライブを行う予定です。


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