ラムシュタイン

今回はドイツのラムシュタインです。ドイツ語の響きのせいか、『タモリ倶楽部』の空耳アワーにもよく使われるので、聴いたことがある人は多いかもしれません。
僕の場合は2001年くらいにライヴに行って、すごく楽しかった思い出があるんですよね。いい見世物を見せてもらったって感じ。
彼らのライヴはとにかく火や水がやたらと飛び交い、怒涛のパフォーマンスが繰り広げられる物凄いもので、パイロの爆発程度は当たり前。
マイクスタンドが燃え、ドラムセットからも火柱が立ち、キーボードも燃え、アンプにマイクを叩きつけたら爆発し、マジもんの火炎放射器を噴射し、擬似チ×ポを出して擬似ファックして擬似精子を客席中に撒き散らし、挙句にはヴォーカルが全身を火で包まれながら歌うという強烈さ。
明らかに消防法違反してるだろ、とツッコミたくなるほどの内容で、あまりのアホらしさに爆笑してしまいました。


彼らは旧東ドイツ出身のバンドで、メタルとインダストリアル、テクノのスタイルを取り入れた音を出しています。
特徴は強靭なマシンビートにメタリックなギターリフ、そしてその隙間を動き回るテクノっぽいキーボード。そしてその鉄壁の演奏に妙にマッチしたティル・リンデマンのバスボーカルでしょうか。
英語ではなくあえてドイツ語で歌うことで、独特の硬い響きを出しているところが印象深いです。
音の性質が性質なだけに、アメリカの銃乱射事件の犯人が聴いていたり、ロシアの学校を占拠したテロリスト集団が聴いて士気を高めるのに使ったりと、何かと扇情的で物騒な側面は否定できませんけど。
歌詞にも特徴があり、近親相姦、子供の性的虐待、屍姦、同性愛など物議を醸すような過激な題材を取り上げることが多いのですが、反面ゲーテの詩を題材とするなど文学的な側面も持っています。
また彼らは異様に背が高いバンドで、平均身長は190cm以上。ベースのオリバー・リーデルに至っては203cmとプロレスラー並みの長身の持ち主だったりします。
ちなみにヴォーカルのティルは元東ドイツの水泳選手で、モスクワ五輪の控え選手にも選ばれましたが、合宿中にポルノ雑誌を買うために勝手に宿舎を抜け出すという規則違反のため、出場権を剥奪されたという経歴の持ち主でもあります。


Rammstein - Sehnsucht


出世作となったアルバム『渇望』のタイトルナンバー。
彼らには珍しくノリノリで華のあるダンス・チューンですが、歌詞はセックスを隠喩で表現したエグいものってのがいかにもって感じです。
スラッシーなギターリフには中毒性があります。


Rammstein - Du hast


映画『マトリックス』や『ロスト・ハイウェイ』で使用され、一躍彼らの名を高めた曲。
聴いている側をぐいぐい追い詰めていくような無駄に強迫的なヴォーカルと、ヘヴィなリフ&ハンマービートの中、場違いな感じでピロピロ鳴っているキーボードが素敵。
クエンティン・タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』が下敷きになっていると思しきPVが妙にカッコいいです。


Rammstein - Links 2 3 4


行進曲みたいな異様な迫力を持った曲。PVもエグくて大笑い(虫の苦手な人はダメかも)。
ちなみに『Links 2 3 4』とは日本語に訳すと「左、2、3、4」で、実際の軍隊の行進の号令です。
当時ラムシュタインはその音楽スタイルとドイツ語の響きから、短絡的なメディアから「ナチ的極右志向がある」と一方的に決め付けられていました。
この曲はそれに反撃した歌詞で、わざとサビに軍隊の号令を使い、ミリタントな曲調にして挑発しておきながら、内容は「ハートは右じゃなく左にある」と主張しています。


日本では今ひとつ人気がないみたいなんですけど、面白いバンドだと思います。
一度大きな会場で見てみたいですね。サマーソニック(05年に出演が決定しながら、怪我でキャンセルしている)あたりに来てくれないかしら。