グラハム・パーカー

またまたパブ・ロックで申し訳ない。今回はグラハム・パーカーです。
彼はR&Bテイストの入ったヴォーカルとパンク特有の疾走感を融合させた、扇動的なライヴ・パフォーマーとして人気の高いヴォーカリストでした。


男気溢れる情熱的なヴォーカルと、労働者階級を意識した辛辣な歌詞、そしてパブ・ロック界のオールスターを揃えたバックバンド、ザ・ルーモアのメリハリの効いた演奏が特徴で、全盛期は世界的な人気を持っていました。
78年の中野サンプラザでの初来日公演では歴史的な名演を披露して、当時の朝日新聞の夕刊の文化面に8段くらいぶち抜きで記事が載ったものでした。僕はそれを読んで初めて存在を知りましたが。


Graham Parker - Hey Lord Don't Ask Me Questions


しゃがれ声を絞り出すようなパワフルなヴォーカルは、今聴いても本当に魅力的だなあと思いますね。
歌からは「今日を生きられない」のような性急さ、切迫感を感じさせもしますが、パブ・ロックの名うての名手たちによる巧みな演奏に下支えされた曲は、イギリスのロックを代表するといってもよいクオリティの高さを持っています。


彼はエルヴィス・コステロジョー・ジャクソンと共に、70年代終わりのブリティッシュニューウェーブの担い手とされていましたが、他の2人に比べるとスタイルがエキセントリックなのがたたったのか、今ひとつ陰に隠れたような存在になってしまったのが残念です。
その後ザ・ルーモアの解散や、レーベルとの衝突などもあって失速しましたが、その後も英国や米国で定期的にライブを続けており、小説家としても活動しているようです。