ドクター・フィールグッド

またまたパブ・ロックで恐縮ですが、今回はドクター・フィールグッドです。
ドクター・フィールグッドは70年代初頭からパブ・ロックシーンを牽引し、後のパンク・ロックムーブメントの火付け役ともなったバンドです。
僕は高校生の頃、渋谷陽一のFM番組でゲストに来た鮎川誠がリクエストした時に初めて聴いたんですが、リー・ブリローのワイルドなヴォーカルと、贅肉を極限までそぎ落としたかのようなシンプルなサウンド(初期のアルバムはモノラルで録られている)、そしてウィルコ・ジョンソンの切れ味鋭い凶器のようなギターがカッコよくて、パンクみたいだ、と興奮したのをよく覚えています。


Dr.Feelgood - She Does It Right


とにかくウィルコがカッコよすぎる。
ピックを使わないシャープなカッティング、そしてカールコードでアンプと繋がれた黒のテレキャスターを持って、引っ張ったり引き戻されたりするようにステージを前後に移動しながら客席を睨みつけるという異様なステージアクションが印象的です。


そのウィルコとは77年に決別してしまいますが、バンドはストレートなサウンドを刻んだアルバムを立て続けにリリースし、クラブを中心としたツアーを頻繁に敢行するなど精力的に活動を続け、最高級のB級バンドとして多くのファンを引きつけただけでなく、多くのミュージシャンにも愛され続けました。
そして根強いファンに支えられ、安定した活動を続けていく中、93年にはついにドクター・フィールグッド・ミュージック・バーというパブをロンドンにオープンさせ、自分の店で演奏するという、パブ・ロックのバンドとしては最大級の夢をも手に入れました。
しかし残念なことにその店のオープニングの時、すでにブリローは喉頭癌に侵されていて死の宣告を受けていました。ブリローは翌年死の直前に自ら店のステージに立ってラストライブを行い、その2ヵ月後にこの世を去りました。
ブリローの死に至っても、ウィルコとの和解が実現しなかったことが、一ファンとしては残念であります。
ちなみにバンド自体は今でも存続していますが、すでにオリジナルメンバーは一人も残っていません。


日本でもシーナ&ザ・ロケッツ、ルースターズThe ピーズTHE HIGH-LOWSthee michelle gun elephantなど、彼らに影響を受けたロックバンドは多数存在しています。
またウルフルズのメンバーであるウルフルケイスケもファンを公言しているなど、地味にファンは多いバンドです。
今聴いても本当にカッコいいですからね。最高。