ガール

77年に英国でパンク旋風が吹き荒れると、それまでロックの本流であったハードロックは、あっという間に古臭い存在へと変わってしまいました。
しかし70年代末には早くもその揺り戻しが起き始め、ニュー・ウェーブ・オブ・ブリティッシュヘヴィ・メタル(以下NWOBHM)というムーブメントが勃興してきます。
その中にはアイアン・メイデンデフ・レパードといった、現在も第一線で活躍するミュージシャンもいたのですが、まず日本で注目されたのがガールでした。
ガールはヴォーカリストのフィリップ・ルイスを中心として、フィル・コリン、サイモンとジェリーのラフィー兄弟らで結成されたバンドです。フロントマンのフィリップ、フィル、ジェリーの3人が美形だった、というあたり、元祖ビジュアル系とも言えるかもしれません。
そのルックスの良さは日本でいち早く注目され、当時老舗の『ミュージック・ライフ』や『音楽専科』といった雑誌が、こぞって彼らの特集を組み、グラビアを載せていましたっけ。
僕もその頃は新し物好きの高校生でしたし、もともとハードロック好きでしたし、女受けするルックスとかには拘らない人だったので、一応ちゃんと聴いてました。


Girl - Hollywood Tease


彼らのデビュー・シングル。
とりあえずかつてのハードロックのように、ブルースの影響を受けていないところがカッコいいな、と思いました。まあNWOBHMのバンドは、ほとんどがそうだったんですが。
とにかく間奏のフィル・コリンの速弾きがすごいです。今聴いてもなかなかのスピードですし。
フィリップのヴォーカルはよく聴くとヘタウマなんですが、この曲にはマッチしています。悪くないですね。
実力・実績的にはたぶん二流なんですけど、肝心要のカッコよさはきちんと備えているバンドなんだなと思いました。ロックはそれさえあれば十分。


Girl - My Number


確か『Hollywood Tease』のB面だったはず。
若いのにずいぶん渋い感じの曲をやるんだなと、初めて聴いたとき思いましたっけ。
あとイントロはカッコいいですね。当時渋谷陽一のラジオ(たぶん『サウンドストリート』)でこの曲を聴いたとき、もしかしたらアイアン・メイデンよりカッコいいかも、と感じました。まあ気のせいでしたが。


ガールは2ndアルバムを出した後、マネージメントとのトラブルもあり、あっさり解散してしまいました。
その後フィル・コリンはデフ・レパードに加入し、世界的な成功を収めました。ジェリーはポルノ男優になったとかタレントになったとか別なバンドを組んだとか、様々な話を聞いたことがあるんですが、とりあえずガールの楽曲の権利は彼が持っているらしいです。
そして肝心のフィリップは解散後アメリカに渡り、元ガンズ・アンド・ローゼズのトレーシー・ガンズとともにL.A.ガンズを結成するのですが、その話は次の機会に。