ザ・スミス

昨日久しぶりに聴きました。ザ・スミスです。
昔は日本でも結構聴かれていたバンドですが、今はどうなんでしょ。


82年に英国マンチェスターで結成されたザ・スミスは、フロントマンであるモリッシーの「自閉、負け犬、モラトリアム、ゲイ」といった要素を逆手に取ったような、心の奥底に向かうような内省的かつ自虐的な歌詞と、ギター中心の繊細な音作りで、ナイーブな若者の心を掴み、80年代半ばの英国を代表するバンドとなりました。
ロックンロールというのは、実は本当の意味での社会の弱者(学歴社会の敗者、「社会」の中で成功を果たせなかった者たち、マイノリティなど)について救済はおろか一顧だにしなかった面があるんですが、ザ・スミスは積極的に彼らの姿を描き出した点で非常に画期的な存在でした。
挑発的なタイトルや、率直なメッセージ性を持った歌詞から物議を醸すことも多かったんですけど、それまでのロックやポップスにもあまり共感できず、取り残されたタイプの思春期の少年少女たちには、それゆえに圧倒的に支持されていました。


The Smiths - This Charming Man


全英的な人気を得るきっかけになったヒット曲。実は彼らのシングルの中では、全英チャートで最も高い順位を記録しています(8位)。
個人的には彼らの曲の中で一番好きですが、花束を振り回して歌うモリッシーのナルシストぶりと、ゲイ丸出し過ぎる歌詞がすごくて噴きます。


The Smiths - WIlliam It Was Really Nothing


これも地味だけど好きな曲。ゲイっぽく意味ありげな歌詞がアレです。


The Smiths - Heven Knows I'm Miserable Now


ジョニー・マーの美しいギターと、強烈な歌詞のコントラストが素晴らしい曲。
雨の日が似合う音です。


The Smiths - The Boy With The Thorn In His Side


若い頃のトルーマン・カポーティがジャンプしている写真を使ったジャケットが話題を呼んだ、シングル『心に茨を持つ少年』。
「憎しみの裏にあるのは、殺意すら感じてしまうほどの愛への渇望」「憎しみの裏にあるのは、愛を略奪しようという欲望」という歌詞が、人に愛されない苦しさ、愛しても報われない苦しさ、人から認められない苦しさを表現していて深いです。


The Smith - The Queen Is Dead


多分彼らの曲の中で、最高に物議を醸した曲。タイトルからしていかにもって感じですし。
ちなみに映像監督はあのデレク・ジャーマンモリッシーとはゲイつながりなんですが、映像はやっぱりすごいです。


ザ・スミスはメンバー内での軋轢や運営面でのゴタゴタもあって、短い活動のみで解散してしまい、のちにメンバー同士が裁判で争うなど再結成も望み薄なんですが、今でも英国ではカルト的な存在として、高い人気を誇っています。