ガゼボ

皆さん、すっかり寒くなりましたけどお元気でしょうか。
自分は相変らず今ひとつですが、静養していた結果だいぶ体調はしっかりしてきました。
来週かその次くらいには、もう少しまともな更新ができているのではないでしょうか。まあ健康な時でもあまりまともな更新してない、って言われりゃその通りなんですが。
そう言えば前回の更新をした後、突然アクセスが異常に伸びていつもの7倍くらいになったので、何が起きたのかと思ったらゲイリー・グリッターの逮捕に関連してのことだったようですね。
今年の1月に彼について取り上げた時、彼の犯罪歴についても詳細に書いたんですが、それが2ちゃんなどに貼られたのが大きかったみたいです。
あと「ゲイリー・グリッター」で検索すると、一番最初に出てくるのがうちのブログなんですね。これにはさすがに驚きました。ゲイリー・グリッターについて知りたければまずこれを読め、みたいな感じになってるわけですから。
なんか着実にゲテモノ音楽ブログとしての道を歩んでいるようで、我ながら誇らしいような恥ずかしいような不思議な気分です。


まあそれはそれとして、今週もまたまた一発屋更新として、懐かしいガゼボを取り上げてみます。なんとなく個人的に前回のファルコから連想してしまったのですよ。
彼も80年代に日本で一発ヒットを飛ばしていますから、当時若かった方なら記憶の片隅には残っているのではないでしょうか。
ガゼボは本名パウロ・マッツォリーニ・デル・ガゼボ。60年にレバノンベイルートで、イタリア人外交官とアメリカ人歌手の間に生まれたという、なかなかコスモポリタンな経歴の持ち主です。
彼はパリにいたときにクラシック・ギターを学び、ロンドンにいた頃は時代の洗礼を受けてパンクバンドを組むなど多感な青春を送り、15歳でイタリアに帰国します。
そこで作曲家のピエルルイジ・ジャンビーニという人に見出され、82年にイタリアでソロ歌手としてデビュー。翌83年に自ら作詞した『I Like Chopin』の大ヒットで、一躍ヨーロッパでは名を知られるようになりました。


Gazebo - I Like Chopin


ドイツ、スイス、オーストリアで1位を獲得するなど、ヨーロッパで800万枚を売る大ヒットを記録した彼の出世曲です。
印象的なアナログシンセのイントロに切ないピアノのフレーズが絡むところや、ガゼボの甘い歌声が聴き所でしょうか。
まあ言ってみりゃクラシックな雰囲気のメロディーを8ビートに載せただけの、向こうのムード歌謡みたいなものなんでしょうけど、耳にすると当時のバブリーな雰囲気が蘇ってきて、これはこれで悪くないかなと思います。
よく聞くと歌詞は文法的におかしいような気がしないでもないのですが、まあ滞英経験があるとはいえイタリア人が書いた英語なので、これはもう仕方ないんでしょうね。とりあえずこの歌詞のせいなのか、英語圏では売れませんでした。
あと余談ですが、当時のツレが「Chopin」を何のためらいもなく「チョピン」と読んで、思いっきり噴き出したことがあります。まあ確かにそう読めますけどねえ。


この曲は日本でもオリコン9位を記録し、20万枚以上の大ヒットを記録しています。まあこの曲しか売れてないので、思いっきり一発屋扱いされていますが。
また松任谷由実が日本語詞を担当し、『雨音はショパンの調べ』というタイトルがつけられ、小林麻美が歌って84年にオリコン1位を記録する大ヒットとなっています。
自分は小林麻美のことは子供の頃に見たことがあっただけなので、久々に名前を聞いて驚いた記憶がありますね。そのあと松田優作の映画『野獣死すべし』(時系列的にはこっちの方が先)に出ているのを観て、その陰のある美しさに心奪われたりもしましたっけ。
ちなみに彼女はこの曲を歌番組で歌ったことはありません。本人は当時「自分は断ってない。テレビで歌いたい」と言っていたとのことですので、多分イメージ戦略などを考えて、上層部が出ないという判断をしたのでしょうね。


小林麻美 - 雨音はショパンの調べ


一応PVはあるので載せてみました。
なんつーかアンニュイですね。歌はたどたどしいですが、それも雰囲気を出すのに功を奏しているような気もします。


と思いっきり話は飛んでしまいましたが、ガゼボの話に戻します。
『I Like Chopin』のヒットで順風満帆だった彼ですが、翌84年にはイタリア軍に入って音楽活動を休止します。
調べてみたところ、イタリアは2000年に廃止されるまで徴兵制が取られていたということなので、彼もそれに引っかかったのかもしれませんね。
前回取り上げたファルコも軍歴がありますし、今でも欧州ではデンマークノルウェーフィンランドやスイスやオーストリアでは徴兵制が施行されていますから、こういう例は珍しくないのかもしれません。
それこそ歴史を遡れば、あのプレスリーやジミヘンも軍歴あるくらいですし。まあジミヘンは予想通り素行不良の兵士で、トイレでオナニーばかりしていて強制除隊になったそうですが。
あとたまにK-POPの歌手なんかが徴兵されて、軍隊に入隊するのがニュースになったりもしてましたっけ。韓国は良心的兵役拒否が非合法ですから、一度は行かなきゃいけないわけで大変ですね。
まあそれはそれとして、ガゼボは86年に除隊するとそのまま音楽活動に復帰し、現在もポップス歌手として安定した人気を誇っているようです。
98年には『I Like Chopin '98』というセルフカバーもしています。


Gazebo - I Like Chopin '98


時代の流れなのかラップも入っていて、奇妙な仕上がりになってますね。10年遅れたファルコみたいです。