スクィーズ

70年代後半の英国のバンドで、「パワーポップ」という呼び方が一番似合っていたのがXTCスクィーズでしょう。というわけで今回はそのスクィーズです。
彼らは74年にロンドンで、グレン・ティルブルックとクリス・ディフォードのソングライター・コンビを中心に結成されました。ニューウェーブ的な感性とパブ・ロック仕込みの高い演奏力を融合させた、ハイブロウなブリティッシュ・ポップを持ち味としており、根強い人気を誇っていました。
そのいかにも英国っぽいひねくれたメロディラインと、ドライブ感を伴った演奏、そしてそのユーモアのセンスは非常に面白く、初期の音はかなり聴き込んだ記憶がありますね。


Squeeze - Take Me I'm Yours


78年の1stアルバム『Squeeze』からのシングル。
打ち込みビートとキーボードを中心とした演奏に乗った、ぐねぐねしているけどポップなメロディが特徴の曲で、彼らの最初の商業的成功作となりました。


Squeeze - Cool For Cats


79年の2ndアルバム『Cool For Cats』のタイトルナンバー。シングルとしてもリリースされ、英国で2位を記録する大ヒットとなっています。
ちょっとディスコっぽいビートと奇妙なメロディーに乗せてよくわからない歌詞を歌っている、サビすらもはっきりしない不思議な曲なんですけど、これがなかなか味のあるポップスに仕上がってるんですよね。
このへんのさじ加減の巧さは、当時レノンとマッカートニーのコンビにも比せられたことのある、ティルブルックとディフォードの面目躍如といったところでしょうか。


Squeeze - Up The Junction


これも『Cool For Cats』からのシングル。この曲も英国で2位を記録しています。
ちょっとネタっぽいところもあるタイトルナンバーと比べると、こちらは哀愁味のあるメロディを正面から押し出した、正統派的なつくりになっています。
ちなみにキーボードを弾いているジュールズ・ホランドは、現在BBCの人気音楽番組を務めるほか、映画音楽の作編曲などでも活躍しています。


Squeeze - Tempted


81年の4thアルバム『East Side Story』からのシングル。ビルボードで49位(メインストリーム・ロックのチャートでは8位)を記録し、アメリカ進出の足がかりになりました。
エルヴィス・コステロとデイブ・エドモンズがプロデューサーとして参加しているせいか、初期の独特なひねくれぶりは影を潜め、オーセンティックな曲作りが成されていますが、それで彼らの魅力が損なわれたかというとそんなことはなく、より万人に受け入れられるポップになっています。
ちなみにリード・ヴォーカルをとっているのは、ホランドの代わりに加入したポール・キャラックです。彼はロキシー・ミュージック(準メンバー)やマイク&ザ・メカニックスでの活躍でも知られています。


彼らは翌年5thアルバムを出す頃には、ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンを2日間満員にするほど、アメリカでも人気が出るようになっていましたが、ツアーのストレスやメンバー間の人間関係の軋轢がひどくなり、結局82年に解散してしまいました。
その後ティルブロックとディフォードは84年にデュオとして再出発しますが、その翌年にはあっさりスクィーズを復活させ周囲を戸惑わせます。こういう意表を突いたところも英国流なんでしょうか。
再結成したスクィーズは99年まで活動してまた解散しますが、07年にはまたまた再結成し、多少のムラこそあるものの、良質な作品を出し続けています。