モーターズ

パワーポップと言えば、マイナーですがこのバンドも忘れがたい味がありました。というわけで今回はモーターズです。
モーターズはもともとダックス・デラックスという、パブ・ロック界ではちょっと名の知られたバンドにいたニック・ガーヴェイとアンディ・マクマスターが、ブラム・チャイコフスキーらを誘って77年に結成したバンドです。
押しの強いパワーポップを書くガーヴェイと、メロウな曲を書くマクマスターという2人の優れたソングライターか生み出す、明るくキャッチーなポップスが最大の特徴でした。またキーボードを前面に押し出したサウンドも印象的でしたね。


The Motors - Airport


78年リリースの2ndアルバム『Approved By The Motors』からのシングル。英国で4位を記録する大ヒットとなりました。
ちょっとベタベタな感じもするくらい、徹頭徹尾泣きのメロディで押し切るナンバーです。今聴くと古くささは否めませんが、逆にそこも含めていい味が出ていると思います。
映像にはギタリストであるチャイコフスキーの姿が見えないのですが、モーターズは一応4人組のバンドです。


The Motors - Forget About You


同じく『Approved By The Motors』からのシングル。この曲も英国では13位のヒットになっています。
こちらは『Airport』とは違って、明るくストレートなパワーポップに仕上げてあります。あまりに衒いのないポップさ加減のため、こんなにキャッチーでいいんだろうかと逆に戸惑ってしまうくらい。
個人的にはこっちの曲のほうが、あまり時代を感じなくて(まったく感じないわけじゃないけど)素直に聴ける気はします。


ここまでは順調に活動していたモーターズですが、チャイコフスキーがソロになるため脱退してしまうと、メンバーが足りなくて一時活動停止状態となり、そこからだんだん失速していきます。
それでもロックパイルから助っ人を迎えて3rdアルバムも作成しますが、残念ながら前作のようなヒットにはならず、結局バンドは行き詰まって解散してしまうのです。


The Motors - Love And Loneliness


これが3rdアルバム『Tenement Steps』からのシングル。
疾走感のあるポップなメロディーといい、分厚いキーボードのオーケストレーションといい、これぞモーターズ節炸裂という感じなのですけどね。
やっぱりポップな面だけを追求しすぎて毒がないため、逆に飽きられてしまったんだろうかとか、いろいろなことを考えてしまいます。


解散後ガーヴェイはソロに転じ、ポール・マッカートニーの『Снова в СССР』(邦題は『バック・イン・ザ・U.S.S.R.』)に参加するほか、プロデューサーとしても活動しています。
またマクマスターも作曲を続け、チープ・トリックなどに楽曲を提供しているそうです。