オシビサ

昨日名前を出したんで、今回はオシビサです。
ただちょっと古いバンドですし、日本ではかなりマイナーな存在なので、僕もそんなに詳しくは知らないのですが、まあそれはそれとして。


彼らは主に70年代に活躍した、英国のバンドです。
イギリス在住のアフリカ系(主にガーナ)とカリブ系(トリニダード・トバコガイアナなど)のメンバーで結成され、ロックにアフリカン・リズムを融合させた音で話題を呼び、アフロ・ロックと称されていました。
もともとメンバーはスタジオ・ミュージシャンだったようで、有名なユーライア・ヒープの『Look At Yourself』(邦題は『対自核』)でのアフリカっぽい部分は彼らが演奏しているそうです。


最初に僕がオシビサを知ったのは、中学生の頃でした。といっても音を聴いたわけじゃなくて、ジャケットを見ただけなんですが。




上が71年リリースの1stアルバム『Osibisa』で、下は同年リリースの2ndアルバム『Woyaya』のジャケです。
初期イエスのアルバムのジャケットで有名なロジャー・ディーンの描いた、昆虫の羽根を生やした空飛ぶ象の絵は、子供心にものすごくインパクトがありました。これでオシビサという名前を知ったんですよね。
ただこれを見たのが、今は亡き伝説のSF映画雑誌『スターログ』でのロジャー・ディーンの特集記事だったので、音の内容とかの情報とかは一切なく、単にバンドの名前を覚えただけなんですが。
その後何年かして、FMのディスコ・ヒットの特集番組で、初めて『Sunshine Day』を聴く機会があったんでしたっけ。


Osibisa - Sunshine Day


これがその曲。75年のアルバム『Welcome Home』からのヒットで、全英で17位まで上がっています。
ワールド・ミュージックに針が振れ過ぎず、ぎりぎりロックやポップスのフィールドに留まっているところが逆に気持ちいいです。
それにしてもアフリカでしかもサンシャインなのに、なんでこんなに雪を降らせているのかは不明。
ちょっとは量を加減しろよ。大雪過ぎるだろww


僕は彼らのアルバムはベスト盤しか聴いたことないんで大きなことは言えないんですが、後に話題になった西アフリカ系の音楽(リンガラ*1とかハイライフ*2とかジュジュ*3とか)の要素は、既に彼らが紹介済みだったんだな、と思います。
ベースがあくまでロックとポップスなせいもあって、今聴くとちょっとエスニックなダンス・ミュージック程度に思われてしまうんでしょうけど、サンタナにも通じるところのあるトライバルな面もあって、70年代初頭では充分にプログレッシブな音楽として迎えられたんじゃないでしょうか。

*1:キューバ音楽の影響下に、コンゴ民主共和国(旧ザイール)で発展したポピュラー・ミュージックの総称。地域共通語のリンガラ語で歌われていることから、日本のジャーナリズムによってこの名がついたため、現地ではこの呼び名は通じない。地域での呼び方は「ルンバ」。

*2:ガーナで発祥し、シエラレオネ、ナイジェリア等の英語圏西アフリカ及びリベリアに広まった音楽。正確な括りは現地でもはっきりしないのだが、カリプソがアフリカ風に変形したものと考えると近いかも。

*3:ナイジェリアなどで盛んなダンス・ミュージック。キューバやブラジル、リベリア、ヨーロッパなどの様々な音楽が、ナイジェリアのヨルバ族の音楽と交じり合ってできたと推測されている。キング・サニー・アデの世界進出により、一躍その名前を知られることになった。