マット・ビアンコ

今日はいつもと趣向を変えて、オシャレ系の音でいってみましょう。
と言っても僕は単なるアイドル好きのおっさんなので、現在進行形のオシャレなんかとても出してこれるわけはなく、昔のオシャレな音なのがなんとも申し訳ないんですが。というわけで今回はマット・ビアンコです。
日本でも割と高いセールスを残しているので、名前は知らなくても聞いたことはある人は多いかもしれません。


80年代前半の英国で、一時ファンカラティーナというファンクとラテンを合体させたようなダンス・ミュージックが流行った時期がありました。
いかにもバブルな流行という感じで、わりとすぐに廃れてしまったのですが、そのなかにブルー・ロンド・ア・ラ・タークというバンドがありまして、それが解散後メンバーだったマーク・ライリーが中心となって結成されたのがマット・ビアンコです。
彼らはマーク及びポーランド出身の女性歌手バーシアのツイン・ヴォーカルと、いかにもクラブで持て囃されそうな流行っぽい音が売りで、デビュー後すぐにヒットを出して一躍メジャー・シーンへ踊り出ました。


Matt Bianco - Whose Side Are You On


84年のデビューアルバム『Whose Side Are You On』(邦題は『探偵物語』)からのシングル。
ちょっとミステリアスな雰囲気と、その中で展開されるバーシアの軽やかなスキャットが印象的な曲です。
今聴くとバブリーな時代の匂いをぷんぷんさせた音と感じられる方も多いでしょうが、当時の流行とか空気といったものは感じられるんじゃないでしょうか。
前身バンドを思い起こさせるジャズのセンスと、ポップスやダンス・ミュージック等のエッセンスをスタイリッシュに昇華した音は、感度のいいリスナーから好評を得ていました。
ラテン的な要素の取り入れ方のスマートさは、マークがキューバ系イギリス人である、というルーツにも関係しているのかもしれません。


しかしその後すぐにバーシアらが脱退してオリジナル・ラインナップは瓦解。ライリーはブルー・ロンド・ア・ラ・タークの同僚だったマーク・フィッシャーを新たなパートナーとして迎え、2人組のユニットとしてマット・ビアンコを継続させます。


Matt Bianco - What A Fool Believes


91年の4thアルバム『Samba In Your Casa』収録曲。再録音もあるんですけど、これはどっちなのかよくわからないです。
もともとは78年にビルボードで1位を獲得した、ドゥービー・ブラザーズの大ヒット曲です。当時の邦題は『ある愚か者の場合』でした。
原曲はマイケル・マクドナルドのもごもごしたヴォーカルがいい味を出していたんですが、彼らはそれにラテン音楽のフレイバーを加え、スマートさを出しています。
ちなみにこの曲は21世紀に入ってから、日本で日産のCMに使われていました。そのせいかイントロは確かによく聴いた記憶がありますね。


Matt Bianco - Sunshine Day


97年にシングルとなり、主に欧州や日本でヒットした曲です。
初期のジャズっぽさはあまり感じられなくなり、かなりダンス・ミュージック方向に針が振れていますが、個人的には70年代後半のディスコ・ブームとかも思い出して、ちょっと懐かしい気分になったりもします。
正直これは、懐かしのオシビサの曲を引っ張り出してきて、クラブ・チューンとして再生させた時点で勝負あり、って感じですね。これ持ってくるのかと思いましたから。


マット・ビアンコは04年にオリジナル・メンバーが再集結し、初期のジャジーな要素の強いアルバムを発表したりもしたんですが、現在はまたライリーとフィッシャーの2人体制に戻っています。
僕はちゃんと把握していないのですが、欧州や日本でかなり強い支持を持っているため、活動も順調なようです。