デヴィッド・ボウイ

一昨日も書きましたが、僕は元鍵盤奏者の端くれなので、ピアノやオルガンの目立つ音が好きなんですよ。
その中でも特に好きなピアノソロが入っているのが、デヴィッド・ボウイの『Aladdin Sane』という曲です。
この曲は73年にリリースされた6thアルバムのタイトル・チューンで、ジャズ畑のピアニスト、マイク・ガースンを迎えて録音されました。
残念ながらPVとかはないので、これで音だけでも聴いてみて頂ければ、と思います。


David Bowie - Aladdin Sane


とにかくこの不協和音がたまらん。
曲が後半に差し掛かるとサックスを合図にして、美しく流麗だったはずのピアノの調性が歪み始め、ロック史にも例を見ないような狂気のソロが、色彩豊かなタッチで展開されていきます。
ピアノソロの異様さだけでなく、曲全体に纏わりつく退廃感、シュールな歌詞、後ろでぐちゃぐちゃ鳴っているミック・ロンソンのギターと、どこをとっても完璧な曲であります。
この曲やアルバムが、日本では今ひとつ評価が低いというのが、長年のボウイファンとしては残念なんですが。
正直デヴィッド・ボウイという人は、80年代半ばには時代に追いつかれて、すっかりダサい存在になってしまったのですが、この頃は天才性とスター性を兼ね備えた、唯一無二の人でありましたよ。


それにしてもこのピアノソロのカオスっぷりは、今聴いても戦慄を覚えますね。
アートと拮抗している感じなのに、なおかつポップな聴き易さもあるのがすごいです。