バッド・レリジョン

やっぱりパンクで育った僕なので、今日はメロディック・パンクのバッド・レリジョンを。


バッド・レリジョンアメリカ西海岸パンク・ロックの大御所です。影響力は実に凄まじく、多くのフォロワーを生み出しています。
音自体はストレートかつポップで、小難しいところは一切ないんですが、特徴は常に世界情勢・戦争・貧富差・宗教などについて真正面に反対する歌詞です。
ネイティブでも辞書を引かないとわからないほどの難解な単語を多用する知的な歌詞の為、レキシコン(辞書)パンクスとも呼ばれています。
ちなみにヴォーカルで歌詞も書いているグレッグ・グラフィンは、コーネル大学生物学博士号を取得し、UCLAで生物学講師をしています。
ロックの暴力的なイメージからは程遠い人物で、こういう人物がパンクをやっているあたり、欧米のロックの奥の深さが感じられますね。


Bad Religion - American Jesus


93年にリリースされた7thアルバム『Recipe For Hate』に収録された曲。
非常にキャッチーで聴きやすい曲なんですが、とにかく歌詞の皮肉がきつ過ぎて、よく考えると怖くなってきます。


我々はグローバルな市民である必要がない
なぜなら国家による祝福があるのだから
俺は成長し続ける国民の一人
俺達の評判を強要する


俺達を引っぱり出そうとする動きがある
俺達を引きずりおろそうとするものがある
しかし俺達には力があり、そして極めて重要な存在である
その事実は至るところに潜んでいる


俺達にはアメリカ人の神がいる
各州間に彼の姿を見ることができる
俺達にはアメリカ人の神がいる
彼は大統領が地位を築く手助けをした


地球上の人々に申し訳なく思う
ごく少数の人間しかアメリカに住んでいないのだから
外国人ができるのは俺達の道徳を複製することだけ
訪れることは可能でも決して留まることはできない


貴重な少数だけが繁栄を集めることができる
それは俺達を新たな自信と共に歩き出させる
俺達には死すときに行くべき場所がある
創造者がすぐそばに住んでくれている


俺達にはアメリカ人の神がいる
国家の信念を強化する
俺達にはアメリカ人の神がいる
毎日数百万人を圧倒し続ける


彼は耕作主の不毛の地 (神よ)
軍隊が行使する権力 (我々は信ずる)
飢えたの子供達の顔に浮かぶ表情 (なぜなら彼は我々の一人)
人間の力 (崩壊)
彼は一味を揺り動かす燃料 (陥没)
彼は殺戮者の動機と良心 (彼が罪を償う)
彼はテレビの伝道師 (強靭な心)
偽りの誠意 (明瞭な精神)
巨大なコンピューターで書かれた定型書式 (そして果てしなく優しい)
彼は原子爆弾 (お前は負ける)
母のいない子供達 (我々は勝つ)
そして俺は恐れる。彼が俺の中に存在していることを (彼は俺達の頂点)


俺達にはアメリカ人の神がいる
各州間に彼の姿を見ることができる
俺達にはアメリカ人の神がいる
彼の権威を行使しながら


俺達にはアメリカ人の神がいる
国家の信念を強化する
俺達にはアメリカ人の神がいる
毎日数百万人を圧倒し続ける


神の下にある唯一の国家


とりあえず歌詞を訳してみましたが。
メロコアバンドってやっぱり昔のパンクとは違って主張のないバンドが多いんですけど、彼らはやっぱり格が違いますな。
PVでアメリカ人を、大きな十字架を抱えた盲目の信者として描いているのも強烈です。
アメリカを愛しているからこその強いメッセージなんでしょうが、母国と神をここまで批判できるいうのは、やはり覚悟や信念があるんでしょうね。