今回は車椅子のシンガー、ロバート・ワイアットです。
この人はもともとプログレ・バンドのソフト・マシーンで名手と謳われたドラマーだったのですが、とにかく大酒飲みで周囲を手こずらせていました。
そして結局パーティの席上で、テキーラとウィスキーを飲み酔ったまま5階から転落して重傷を負い、その後遺症で下半身不随となってしまうのですが、多くのミュージシャン仲間に支えられ、シンガーとしてカムバックを果たしました。
Robert Wyatt - Shipbuilding
この曲はフォークランド紛争*1を、造船を生業とする都市の住民の視点から描いたもので、「自分たちの造った船で人が死ぬかもしれない」と思いながら、生活のために造船工場へ向かう人々の姿を淡々とした視点で歌っています。
ちょうどこの頃英語を勉強していて、自分でこの歌詞も訳したんですが、枯れた味わいが何とも言えず心に迫って、聞き書きしながら泣けたのを覚えています。あの頃の僕は純粋だったww
ちなみにこの曲の作曲はデフ・スクールのクライブ・ランガー、作詞はあのエルヴィス・コステロです。
PVをよく見てみると、ランガーがキーボードを弾き、コステロがバックコーラスとして参加しています。
ロバート・ワイアットと言えば、この曲も忘れがたい魅力があります。
Robert Wyatt - At Last I Am Free
シックのカバーですが、チークタイム用とおぼしき原曲とはまるで様相が違っていて、初めて聴いたときには驚いたものです。
歌詞も本来はそんなにたいしたことを歌っているわけでもないのですけど、彼のファルセットで歌われると、なにか全然別のことを言っているように聞こえます。
彼が彼自身を車椅子に縛り付けている肉体から、とうとう自由になったと言っているような、そんな気がするから、聴くたびに感動するのかもしれません。