ダイナソーJr.

ちょっとアイドル現場に出かけていて疲れたので簡単にいきます。というわけで今日はアメリカのオルタナバンド、ダイナソーJr.です。
彼らは米国マサチューセッツ州アマーストで、マルチプレイヤーのJ.マスシス*1を中心に結成され、その後インディーシーンの雄ソニック・ユースに認められて世に出ています。
伝統的なロックとハードコア・パンクやフリー・フォーム・ノイズ等のサウンドをかけ合わせた、ノイジーなギターサウンド(しばしば「ニール・ヤングソニック・ユースを足した」と形容された)と、ポップなメロディとけだるいヴォーカルが特徴で、グランジオルタナブームの最中で好評を博しました。
音がパンキッシュに歪んでいる割にはとげとげしいところが少なく、むしろ優しいと言うかへなへなしている感じがするのが個人的には面白く思っています。


Dinosaur Jr. - Freak Scene


この曲は88年にリリースされた3rdアルバム『Bug』のオープニングを飾っています。
とにかくハードでポップ。インディーらしい簡素な作りながら非常にドライブ感があり、それでいてセンチメンタルな情感も感じられる名曲です。
ヴォーカルは無気力この上なく、歌詞もひたすら後ろ向きですが、間奏のギターソロはエモーショナル感が爆発する破壊力抜群のカッコよさです。なんか適当なPVも、なかなかの味を出していますね。
実はこの曲の入ったアルバム『Bug』について、J.マスシスは「最低の駄作だ」とコメントしているのですが、それが韜晦であると思えるほどこれは良いです。
ちなみにマスシスは奇矯な性格のダメ人間として知られていて、
「勉強したくないからギターを始め、働きたくないから音楽をやっているんだ」
みたいなことを普通に言ってますw


バンドはその後暴虐性を後退させてニール・ヤングっぽい要素を増していき、最後にはホーンやメロトロンまで加わった音になるくらい変貌していきましたが、徐々にマスシスのソロ・プロジェクト化してバンドとしての実体は失われていき、97年には彼の判断で解散します。
しかし05年にはオリジナル・メンバーで再結成され、2枚のアルバムをリリースするなどの活動をしています。

*1:もともとはドラマーで、故カート・コバーンがデイブ・グロール加入以前に、彼をニルヴァーナのドラマーに迎えようとしたこともある。