フラ・リッポ・リッピ

今回は北欧です。
ノルウェーといえばa-haがあまりにも有名ですが、このフラ・リッポ・リッピもなかなかいいグループでした。
この奇妙なグループ名は、イギリスの詩人ロバート・ブローニングがイタリア=ルネサンス期の画家フラ・フィリッポ・リッピ*1に捧げた詩のタイトルから取られているということですが、僕は絵画に詳しくないのでよくわからなかったりします。
彼らは81年に結成された2人組で、最初は「北欧のジョイ・ディヴィジョン」と呼ばれたダークで内省的なサウンドでしたが、のちにエレ・ポップへと変わっていきます。
エレ・ポップにありがちなカラフルなサウンドではなく、淡い色彩感を表現しているような地味ながらも良質な音が特徴でした。


Fra Lippo Lippi - Shouldn't Have To Be Like That


85年にリリースされた彼らの代表曲で、邦題は『傷だらけの心』。
哀愁漂う美しいメロディーと、低く垂れ込める雲の層のような雰囲気の音が素晴らしい。
日本でもZABADAKが『水のソルティレージュ』のタイトルでカバーしています。


Fra Lippo Lippi - Angel


87年にリリースされたアルバム『Light And Shade』からのシングル。
プロデューサーにスティーリー・ダンウォルター・ベッカーを起用、TOTOジェフ・ポーカロをはじめ米国の腕利きセッション・ミュージシャンが参加するなど、ポップ化を一層突き詰めた作品。
80年代後半の英国は、スティーリー・ダンマイケル・マクドナルド系の音が大流行し、彼らもその中に埋もれるようになってしまったのですが、それはそれとしてこれも良曲。
持ち味であるメロディの良さが、たっぷりと味わえます。


現在フラ・リッポ・リッピは、ヴォーカルのペール・オイステイン・ソレンセンひとりのユニットになってしまっていますが、マイペースで活動しているようです。
なおフィリピンでは今なお高い人気を誇っているとか。

*1:イタリアの画家。フィレンツェで活躍し、ボッティチェリの師でもあった。聖母子を題材とした作品が多い。なお「フラ」は聖職者、修道士であることを示すが、彼自身は妻帯し子まで成していた。