インヴィジブル・セックス

どうもです。寒いですね。
実は年末って仕事が結構忙しいのですよ。まあ僕の場合は出勤制限がかかっていることもあって、フルタイムで行ってるわけじゃないんですが、職場でこなさなくてはいけない量自体は相当多くなっていて、半分療養中で体力のない身にとってはきついというのがあります。
それと年末になると、もう一つ運営しているブログ(アイドル楽曲関係)のほうも、今年のまとめを更新しなくてはならないというのもありまして。そのブログは年末にしか更新しないので、さぼれないのですよ。
などと個人的な言い訳をつらつら書き連ねてしまいましたが、要するにいろいろ他にやることがあって大変だ、ということですね。半分は自分の趣味のことなので、大変なのは自業自得なんですけど。
というわけで、今回と次回は短い更新とさせて頂きます。まあいつもが動画てんこ盛りで自分でも観直すのが大変なくらいなので、たまにはこういうのもいいんじゃないかと思って頂ければ何よりです。


短い更新をするには、題材も一発屋やゲテモノ系などを選ばなくてはいけないわけです。そういう人たちはおおむね活動期間が短く、必然的に書くことが少なくなりますので。
というわけで今回はゲテモノというか珍品というか、そういう人たちを取り上げてみることにしましょう。イギリスの変態バンド、インヴィジブル・セックスです。
このバンドのことを知っている人はほとんどいないんじゃないでしょうか。何しろ書いている僕ですら、一本動画を観たことあるだけですし。
海外のサイトを探してみても、この人たちに関する情報はほとんどありません。もし詳しく知っている人がいるのなら、ぜひいろいろ教えて頂きたいくらいです。まあそんな人がもしいたとしたら、それは当事者以外考えられないんですけど(笑)。
正直な話、このブログが日本で一番インヴィジブル・セックスについて詳しく説明してあるんじゃないでしょうか。実際検索してみても、日本語のサイトで彼らについて言及しているのは一つしか見つかりませんでしたし、それだってここと同じ映像を観て感想書いてるだけでしたから。ただこのバンドについて説明してあるからといって、それに需要があるとはとても思えないですけど。


このバンドがいつどこで結成されたとか、そういうことは一切分かりません。レコードを出しているのかどうか、それについての詳しい情報もありません。
僕が唯一彼らについて知っていたのは、このライブ映像だけです。ラジオで曲を聴いたこともありませんし、雑誌で名前を見たことも一度もないですね。


Invisible Sex - Valium


81年にリリースされた(日本での発売は80年代半ば)音楽ドキュメンタリー、『Urgh! A Music War』で紹介された映像です。日本における彼らについての情報はおそらくこの映像だけだったんじゃないでしょうか。
『Urgh! A Music War』はポリス、エコー&ザ・バニーメンXTC、UB40、オーケストラル・マヌーヴァース・イン・ザ・ダーク、ゲイリー・ニューマンディーヴォといった有名どころから、クラウス・ノミ、サーフ・パンクス、クランプス、スカフィッシュなど見るからにへんてこな連中まで、パンク、ニューウェーブの種々雑多な人たちのライブが多数収められている珍品なんですが、中でもダントツでゲテモノだったのがこのインヴィジブル・セックスでしたね。
ディーヴォを医療系にアレンジしたような白のつなぎ、顔面を覆う奇妙な銀の仮面、見てくれの異様さの割には特に奇矯な部分もなく普通にダンサブルなハードロックっぽいサウンド、芸術性の欠片もないほとんど学芸会のようなノリのパフォーマンスと、中途半端に変な感じが逆に異様でした。
間奏での段ボールで作ったギターのようなもので行うエアギター大会とか、狙ってやってるならすべってるし素でやってるなら単なるバカだし、なんかえらいものを見てしまったと当時思いましたっけ。お客さんも全然のってなくて固まってるように見えますから。
メンバーはジーン・ワウ(ヴォーカル)、ジーン・アックス(ギター)、ジーン・バナナ(ベース)、ジーン・アイ(ドラムス)、ジーン・ユス(キーボード)、ジーン・ティー(サックス)、ランキング・ジーン(ダンス、パーカッション)、ジーン・マシン(女性ダンサー)、ジーン・ジャンクション(女性ダンサー)の9人ということになっているんですが、映像ではサックスの人はおらず、8人しかステージに立ってません。名前はラモーンズみたいにジーンで統一されていますが、このジーンは人名によくあるジーンではなく、遺伝子を意味するGeneです。その名乗りと白衣を連想させるスタイル、『Valium』という曲名から考えると、一応医学という統一コンセプトはあったようです。
よく聴くと演奏自体は大変しっかりしています。ベースやドラムはしっかりリズムをキープしてノリのいいグループを出していますし、ギターはハードロックの影響の濃いなかなか達者なギターソロを聞かせてくれます。楽器を持ってる人たちに関しては、スタジオ・ミュージシャンとかそういう系の人を集めてきたんじゃないかと当時推測しました。
ヴォーカルも特徴はないですけど、結構歌えています(パンク時代なら上手い方だと思う)し、そこそこの経験はあるんじゃないでしょうか。ダンサーの人たちは動きもコーラスもバラバラで、完全に素人だと思いますけど。
『Urgh! A Music War』の国内盤VHSには、一応各バンドについての簡単な説明が書いてある一枚の紙が入っていたんですけど、このバンドについては「よく分からない変なバンド」みたいなことしか書いておらず、結局正体については謎のままでしたね。音楽メディア等でも一切話題にならず、そのままインヴィジブル・セックスは忘れられていきました。僕は変なものが大好きなので、しつこく覚えていましたが(笑)


さて、そんなこんなで忘却の彼方に消えていたインヴィジブル・セックスですが、今世紀に入って思わぬところから情報が入ってきました。
2010年から再結成ゾンビーズにギタリストとして加入しているトム・トゥーミーが、08年に自分のYahoo!グループで「80年代初め頃にインヴィジブル・セックスというバンドで活動した経験がある」と語ったのです。
その後トゥーミーは幾人かの読者から質問を受け、それらについて回答しています。質疑が公開されたサイトは現在削除されているため、正確な内容は把握していませんが、伝え聞くところによりますと、そこでトゥーミーは自分がジーン・アックスだったと思うと答えていたようです。ただこの活動は当時セッション・ミュージシャンだったトゥーミーが仕事としてこなしたものの一つに過ぎず、彼も正確なことは覚えていないということでした。参加した人間がよく覚えてないんじゃ、そりゃ情報も出てこないよねって感じですが。
12年に彼は公式のインタビューでも、「自分はニューウェーブの頃インヴィジブル・セックスというバンドにいた」という発言をしています。この時はインタビュアーがインヴィジブル・セックスを知らなかったのか(普通知らないと思いますけど)、その話はあっさりと流されてしまったのですが。
しかしあのゾンビーズとインヴィジブル・セックスが繋がるとは、さすがにまったく予想してなかったので思わず笑ってしまいましたよ。世の中って不思議だし面白いです。
また一連の流れから、ヴォーカルのジーン・ワウが開設していると思しきMySpaceも見つかりました。そこでは80年10月にロンドンで行われたライブの音源など、7曲が公開されています。一応一曲聴いてみましたが、あの異様な見てくれがないと、サックスの目立つハードロックみたいに聞こえましたね。


当時のロンドンはニューウェーブブームに沸き立っていたわけで、シーンの末端にはこういった便乗系の奇を衒ったバンドが結構いたんでしょう。それ自体はどのブームの時にもありがちな話です。
もし『Urgh! A Music War』に映像が収録されていなかったら、彼らはとっくに忘れられていて(今も忘れられているようなものですが)誰の口にも上らなかったと思います。間違いなくその程度のレベルのインチキバンドでしたからね。
ただニューウェーブってのはインチキ臭いのが似合うブームではありましたし、そもそもセックス・ピストルズだってインチキみたいなものでしたし、それについてはいいんじゃないでしょうか。むしろここまでバカっぽいと、それはそれで味があって面白いなと個人的には思うわけです。
根が酔狂なのかバカなのか、そういうゲテモノの類を愛してしまう癖が僕にはあるようですね。まあ皆さんは忘れてもらっても全然構わないのですが。


Urgh a Music War [DVD] [Import]

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後で時間を作ってもう一度観てみよう。やっぱりこの頃の音楽が一番好きだわ、胡散臭い人たち多過ぎだけど。