スレイヤー

体調が悪くて更新せずにブログを放置していたら、いつの間にかPVが20万を超えておりました。
これもいつも読んで下さっている、皆々様のおかげです。本当にありがとうございます。感謝します。
別にPV稼ぎを目当てに記事を書いていることはない(そもそもPV目当てならこんな懐古厨丸出しのブログやってないですし)のですが、一応の区切りにはなりますし、それよりも何よりも書くためのモチベーションが湧いてきます。やはり承認欲求というものは人並みにはありますので。
これからも疲れない程度に書いていきますので、お暇な時にでも読んで頂けると幸いです。よろしくお願い致します。


で、本来は別のミュージシャンを取り上げるつもりで、もう動画も集め終わってたんですが、そんな時急にこのニュースが飛び込んできました。


CNN.co.jp : 「スレイヤー」のギタリスト、ジェフ・ハンネマンさん死去 49歳


僕はスラッシュメタルというジャンルの持つスピード感が大好きで、当時「スラッシュメタル四天王」と呼ばれたメタリカメガデスアンスラックス、スレイヤーは全部聴いてました。
最初の3つのバンドは時代の変遷とともに、音楽性も変わっていったのですが、スレイヤーだけは頑なにスラッシュメタルに拘っていて、その一本気なところに好感を持っていたんですよね。
そんなわけですからニュースを聞いてすごくショックを受けまして、遅ればせながら追悼記事を書こうと考えたわけです。
はっきり言ってこのブログではメタルのウケがすごく悪いんで、読んで下さっている方々はがっかりされるかと思うんですけど、今回は運が悪かったと思って諦めて頂ければ何よりです。


スレイヤーは81年に米国カリフォルニア州ロサンゼルスで、トム・アラヤ(ヴォーカル、ベース)、ケリー・キング(ギター)、ジェフ・ハンネマン(ギター)、デイブ・ロンバード(ドラムス)の4人によって結成されました。
バンドの歴史についての詳しい説明は省略しますが、名前が「殺害者」という強烈なものであることに加えて、死や戦争、精神異常などの本来ならタブーとされるような題材を好んで取り上げるためしばしば論議を呼び、アルバムの発売禁止や延期、それに伴う訴訟などは当たり前で、時には親ナチ主義、あるいは人種差別者であるとの批判に晒されることもありました。
そうなると普通は社会との折り合いをつけるために節を曲げるものですが、彼らは絶対にそれをしなかったわけで、個人的にはそこに信頼感を抱いています。


とりあえず今回は、亡くなったハンネマンが作った曲をピックアップしてみます。


Slayer - Angel of Death


86年リリースの3rdアルバム『Reign In Blood』に収録されている、彼らの代表曲にして最大の問題作。
この曲はナチス・ドイツの医学者であるヨーゼフ・メンゲレ*1が、アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所で行った人体実験をテーマにしており、その歌詞の過激さからホロコーストの生存者から怒りを買い、その家族や社会からの反発を招きました。
歌詞をよく読むとメンゲレおよびナチを非難しているのは明らかなのですが、結局誤解は解かれることなく、彼らは不当なくらい激しい批判を浴びていましたね。ハンネマンは後にそれを「無条件反射」と切って捨てています。
『Reign In Blood』は所属するコロムビア・レコードから配給を拒否され、発売延期を余儀なくされました(後にワーナー傘下のゲフィンから発売)が、それが逆に話題を呼ぶことになったようで、ラジオのオンエアが一切なかったにも拘らず、ビルボードのアルバムチャートで94位に入りました。


Slayer - Raining Blood


これも『Reign In Blood』に収録されている、彼らの定番曲ですね。
後半の凄まじいまでの高速リフと、爆走するドラムスが狂気を感じさせるナンバーです。壮絶でありながらタイトにまとまっているところも良いですね。
血の雨まみれになるライブの演出も、狂っていてヤバいです。


Slayer - War Ensemble


90年リリースの5thアルバム『Seasons in the Abyss』に収録されている曲。
有無を言わせぬスピード感、強烈な展開、ダークでキャッチーなリフ、何もかもぶち壊したくなるような焦燥感が素晴らしい、スラッシュメタルのお手本とも言える曲です。


Slayer - Seasons in the Abyss


『Seasons in the Abyss』のタイトル曲。シングルカットもされ、全英51位を記録しました。
最初はひたすらにヘヴィで、そこから徐々にはい上がってくるようにテンポアップしていくところが、不気味でどろどろした雰囲気を醸し出していて好きです。
彼らの曲の中では最も分かりやすい部類に入るのではないでしょうか。


スレイヤーはそのぶれない姿勢から様々な物議を醸しつつも、メタルファンからは圧倒的な支持を得て、グラミー賞でも2度最優秀メタル・パフォーマンス部門に選ばれるなど大成功しました。
しかし11年、ハンネマンは右腕を毒蜘蛛に噛まれ、壊死性筋膜炎を発症し療養を余儀なくされます。バンドはサポートを入れて活動を続行しますが、結局ハンネマンは肝不全を併発して死亡してしまいました。
実はハンネマンと僕は同い年なので、ショックも大きかったりします。まさか毒蜘蛛に噛まれて、そのまま復帰できずに亡くなるとは思っていなかったので。
安らかに眠ってほしいです。合掌。

*1:ドイツの医師でナチス親衛隊将校。第二次世界大戦中にアウシュビッツに勤務し、ユダヤ人囚人に対して加圧室に置く、有害物質や病原菌を注射する、血液を大量に抜く、四肢や器官を切断する、熱湯に入れて麻酔なしで手術をする、様々な薬剤をテストする、死に至るまで凍らせる、生きたまま解剖する、人体同士を縫合するなど残酷な人体実験を行い、「死の天使」と渾名された。戦後は南米に逃亡し、79年にブラジルで海水浴中に心臓発作を起こして死亡した。