ピート・シェリー

実は今日明日と外出する用事があるのです。出不精な自分にしては珍しいことですが、要するにスケジュール管理を失敗したのですね。
というわけで本当に時間がないので、今回は思いっきり簡単な更新になりますけれど、どうかご容赦下さい。


前回のバズコックスについてのエントリで、解散後ヴォーカルのピート・シェリーがソロに転向したということを書いたので、今回はそれについて取り上げてみましょうか。
バズコックスのオリジナル・メンバーであり中心人物でもあった彼は、本名をピーター・キャンベル・マクニッシュといい(79年に正式にピート・シェリーと改名している)、55年に英国マンチェスターに生まれています。
シェリーはバズコックス在籍時にも2枚のソロアルバムを出しているのですが、その時点で全然パンクではなく、言ってみればフリップ&イーノのようなエレクトリック・インプロヴァイゼイションを展開していました。
そして本格的にソロ活動を開始した、バンド解散後の81年に彼が提示してきた作品は、それを思いっきり大衆的なフィールドに広げたテクノポップだったのです。
当時はシンセサイザーを使ったエレポップが乱立した時期で、シェリーもその波に乗った一人ということになるんでしょうが、元がパンクバンド出身ということもあるのか、今聴くとギターの使い方など、そのアプローチ方法も一風変わっていたように思えます。


Pete Shelley - Homosapien


81年にリリースされた、ソロ第2弾のシングル。米国のダンスチャートで14位を記録するなど、意外なヒットを記録しています。
フックの効いたイントロから、ポップなメロディーが躍動していくディスコ・ナンバーで、当時は結構気に入って聴いていた記憶がありますね。
何でもこの曲は同性愛者の性への露骨な言及のために、BBCによって放送禁止とされたそうです。
シェリーはバイセクシャルだったため、この曲やバズコックスの『Ever Fallen In Love』のように、直接的もしくは隠喩的に同性愛をテーマにすることが多いように思います。


Pete Shelley - Yesterday's Not Here


82年のアルバム『Homosapien』に収録されていた曲。邦題は『さよならイエスタデイズ』。
別にヒットしたとかそういうわけじゃないんですが、当時ラジオでエアチェックしてよく聴いていたので載せてみました。個人的にとても懐かしいです。
実は74年、まだ彼がアマチュアだった頃に書いた曲なんだとか。


Pete Shelley - Telephone Operator


83年にリリースされたシングル。全英66位に入り、唯一の英国でのチャートインになっています。邦題は『愛しのオペレーター』。
一応エレ・ポップの体裁はとっていますが、あからさまな電子音の使用は抑えられ、むしろパンク出身のシェリーらしいソリッドなギターと、元マガジンのバリー・アダムソンが弾くベースの激しいビートが印象的です。
日本でも02年にパナソニックの携帯電話のCMに使われたほか、テレビ番組『アメトーーク』のオープニング・テーマとしても使われているので、ご存知の方もいるのではないでしょうか。


その後シェリーは86年にもアルバムを出しますが、エレポップの退潮とともに名前を聞かなくなってしまいます。
そして89年にはバズコックスを再結成して、パンクシーンに戻ってきたのは前回書いたとおりです。
バズコックスの陰に隠れる形で、最近はシェリーのソロはあまり語られることもないのですが、なかなか面白い音を出していたと思うので、バズコックスが好きな人はこれらもぜひ聴いてほしいと思いますね。