ディープ・パープル

もうちょっと前の話になってしまうんですが、今月の16日にジョン・ロードが亡くなりました。享年71でした。
ディープ・パープルのオルガン・プレイヤーとして大変有名な人でしたので、少なくともこのブログを読んで下さる方くらいの世代なら、知らない人はいないんじゃないかと思います。
僕がこのニュースを知ったのは、17日の未明でした。休憩中に職場で携帯を弄っていたら、「Jon Lord has sadly passed away」という文字が飛び込んできたんですね。
とにかくショックでした。その後仕事場で何をしていたのかよく覚えていません。
朝方家に帰ってから、名盤と名高い『Live in Japan』をかけて、追悼の代わりにしました。涙は出ませんでしたが、悲しくて仕方ありませんでしたね。
死因は肺塞栓症とのこと。昨年癌のために闘病していることを明らかにしていたので、体の具合が悪いことは知っていたんですが、あまりにも逝くのが早過ぎると思います。
若い頃大好きだった人の死をたくさん知るようになること。それが歳を取るっていうことなので仕方ない面もあるんですが、何回あっても慣れないですね。


僕がディープ・パープルと出会ったのは、わずか10歳の頃でした。
このブログを読んでおられる方は、僕のことをパンクやニューウェーブで育ったと思われているのでしょうが、実はルーツはハードロックだったんですね。
当時はまだパンクも存在しない頃で、グラムロックも下火になっていたため、ロックと言えばビートルズストーンズなどのオーソドックスなものか、イエスキング・クリムゾン、エマーソン・レイク&パーマーなどのプログレッシブ・ロックドゥービー・ブラザーズイーグルスのようなアメリカン・ロック、そしてハードロックしかなかった時代でした。
僕は病弱な子供だったので、学校を休んで寝込みつつ、ラジオを聴いていることが多かったんですね。今では考えられないくらいラジオが近い位置にありました。
それでも普段はAMで歌謡曲などを聴いていることが多かったんですが、ある日突然、たまにはちょっとFMというものでも聴いてみようかと思ってチューニングを合わせてみたんですよ。ちょっと大人ぶってみたかったのかもしれませんね。、
するとちょうどハードロック特集でもやっていたのか、レッド・ツェッペリンとディープ・パープルが続けてかかったんです。それも結構な大音量で。
ツェッペリンは小学生には難しすぎたところがあって、その時はただ単に「うるさい」としか思わなかったんですが、パープルはすごく子供心に来るものがあって、「なんかすごいぞ」と思ったのでした。
それから僕は洋楽をいろいろ聴くようになったので、現在の自分の音楽遍歴のきっかけを作ったのは、ディープ・パープルと言ってしまっていいんじゃないでしょうか。


少年だった僕がディープ・パープルの何を魅力に思ったのかというと、やはりそれはキャッチーなソロでしょう。
リッチー・ブラックモアのギターとジョンのオルガンは、テクニカルでありながら歌心があって、ソロのフレーズを口ずさめるくらいでしたからね。そこが大きかったんだと思います。
特にジョンのオルガンはいかにも「旋律」という感じで、独特のハモンドオルガンの豊潤な音色も相まって、とても魅力的に思っていました。
あとは自分がオルガンを習っていたから、ジョンに自らを仮託した(よく考えてみると、あまりに恐れ多いことですが)というのもあるかもしれません。
のちにディープ・パープルやレインボーのコピーバンドに駆り出されて、文化祭でジョンのパートを、フェイクを交えつつも何とか演奏した、なんて経験もあるくらいですから。


今回追悼代わりにディープ・パープルの代表曲を、と思ったんですが、以前とっくにやってるんですよね(2011-09-28 - 星屑のイノセンス
また同じ曲ではあまりにも芸がないので、お別れにふさわしいかどうかは分かりませんが、今の心情にはマッチしている曲を取り上げてみたいと思います。


Deep Purple - Soldier of Fortune


この曲は74年にリリースされた彼らの9thアルバム『Stormbringer』(邦題は『嵐の使者』)に収録されているバラードです。邦題は『幸運な兵士』。
デヴィッド・カヴァーディルのブルージーなヴォーカルで歌われる哀愁のメロディを、リッチーの抑制の効いたギターが支え、美しいジョンのメロトロンが後半を盛り上げていくという素晴らしいバラードです。
あまりにも切なく深く哀しい感じが、個人的にはたまらないくらい好きなのですが。


僕は死後の世界というものを信じていないので、天国でまたプレイしてほしいみたいなことは書けないのですが。
それはとにかくとして、僕はジョンのおかけで一つの魅力的な世界を知ることができました。それについては御礼を言いたいです。ありがとうございます。
そして本当にお疲れさまでした。今は安らかにお眠り下さい。