ビースティ・ボーイズ

本来ならばスクリッティ・ポリッティについて書くはずで、もう実は下書きも済んでいたんですが。
昨晩仕事中にビースティ・ボーイズのメンバーであるMCAことアダム・ヤウクが癌のため亡くなった、というニュースを知ったので、急遽変更して追悼更新とします。


僕は基本的にヒップホップは全然聴かないんですが、ビースティ・ボーイズだけは別でした。
特に出てきたときの彼らは、レッド・ホット・チリ・ペッパーズやスレイヤーなどで知られるリック・ルービンのプロデュースのもと、ロックの名曲を縦横無尽かつ過激にサンプリングしつつ、バンクやハードロックの色が強く残るヒップホップを展開していて、なんかよく分からないけど面白いやつらが出てきたぞと、わくわくさせてくれたものでした。
その後はパンクに接近したり、逆にストレートなヒップホップに回帰したりと、サウンド面では様々な変化をしていきましたが、一見ユーモラスと言うかアホらしいように見えつつ、実はシリアスで政治的な軋轢も辞さない硬派さを持っているところは不変でした。


しんみり送るのは彼らに似つかわしくないと思うので、とりあえずバカバカしいノリのPVをいくつか見繕ってみましょう。


Beastie Boys - (You Gotta) Fight For Your Right (To Party)


86年のデビューアルバム『Licensed To Ill』からのシングル。ビルボードで7位、全英では11位。
ヒップホップでありながら、本来ロックンロールが持っていた反逆的なエネルギーを持っている名曲です。この曲が一番ロック好きには分かりやすいんじゃないかと思います。
サウンドの過激さの割にはライムは他愛ないのも、ロック・キッズっぽくて良かったですね。


Beastie Boys - Sabotage


94年の4thアルバム『Ill Communication』からのシングル。全英19位。
かなり緊張感のあるサウンドなんですが、PVは昔の刑事ドラマのパロディのようなアホらしい内容で、そのギャップも面白い曲です。


Beastie Boys - Intergalactic


98年の5thアルバム『Hello Nasty』からのシングル。全英5位。ビルボードでは28位。
彼らがオールドスクールなヒップホップに回帰した一作で、ちょっとエレクトロなサウンドがなかなか気持ちいいです。
しかしこの曲も特筆すべきなのはやはりPVです。なんと全編東京ロケ(しかも無許可)。
山手線の中や東京駅の構内などで、工事現場の作業員のような作業着を着て、なんだかわけのわからない動きをしている彼らと、懐かしのSF映画をおちょくったようなテイストが最高にアホらしくて笑わせてくれます。


MCAは09年に左耳の唾液腺に癌性の腫瘍が見つかり、治療を続けていましたが、残念ながら帰らぬ人となってしまいました。
あのチベタン・フリーダム・コンサートを主催するミラレバ基金の主催者であり、チベットの自由のために戦う人々をサポートし、その問題を世間にアピールするために尽力した人でもありました。
47歳での死ですからまだ若いですね。ご冥福をお祈り致します。