前回ネタにしたテレックスのマルク・ムーランが、かつてプロデュースしたアイドルがいます。それが今回取り上げるリオです。
リオはポルトガル生まれ、ベルギー育ち(国籍もベルギー)の女性歌手で、本名をワンダ・マリア・リベイロ・ウルタド・タバレス・デ・バスコンセロス(長い)といいます。
彼女はムーランの仕掛けによって、80年に17歳でフランスでデビューしました。テレックスの人がプロデュースしたということで、音は当然ながらテクノポップでしたね。
当時はキュートなルックスとロリータ・ヴォイス、そしてベタなテクノポップ・サウンドということで、日本の音楽誌にも取り上げられた記憶があります。
僕はフレンチ・ポップスの女性歌手というとフランス・ギャルやジェーン・バーキン、シルヴィ・バルタン、フランソワーズ・アルディといった、いかにも歳がバレそうなメンツしか知らなかったので、リオのいかにもアイドルといったキャラクターは逆に新鮮に感じましたっけ。
ただおバカなでエッチなロリータ・テクノと思わせつつも、実は裏には狡猾なブレーンがいたわけで、売り方自体はかなり戦略的でした。そういうところも大人になると楽しめるようになりますね。
Lio - Banana Split
80年にリリースされたデビューシングル。欧州で200万枚を売るヒットになりました。04年にもフランスでリメイクされてヒットし、彼女の存在を再度クローズアップさせています。
まさにテクノポップのクラシック、とも呼べる素晴らしい完成度の曲です。可愛らしいデザートであるバナナ・スプリット*1をモチーフにしつつ、その裏に秘められたセクシャルなイメージも匂わせるところが上手いな、と思います。
そう言えばこの曲が収録されたデビューアルバム『Lio』(邦題は『美少女リオ』)は、裏ジャケットには下着姿のリオの写真が、ライナーには何種類かの洋服の絵が印刷してあって、切り取って着せ替えができるようになっていましたっけ。そういう能天気なところは好きでしたね。
ちなみに日本では近田春夫がジューシー・フルーツに書いた『ジェニーはご機嫌ななめ』(Perfumeのカバーでも有名ですね)が、この曲を下敷きにしたことで知られています。
Lio - Banana Split
90年代にリミックスされたときのPV。
音もかなり新しい感じになってますし、何より当の本人がかなりお色気ムンムンになっています。
Lio - Amicalement Votre
これも同時期のシングル。邦題は『恋はAmi Ami』。
オールディーズの路線を狙ったと思しき、ポップで親しみやすい曲になっています。
日本でも倉田まり子がこの曲をカバーしていました。彼女は投資ジャーナル事件に巻き込まれるかたちでアイドル生命を絶たれてしまいましたが、その後キャリア・カウンセラーに転進して成功しているようです。
Lio - Amicalement Votre
これはテレビ番組なんでしょうか。
それにしてもすごい格好で歌ってますね。地下アイドルにも断られるレベル。この衣装にする必然性がまったく理解できませんが、とりあえずエロいです。
Lio - Sage Comme Une Image
82年リリースの2ndアルバム『Suite Sixtine』からのシングル。
ちょっと大人っぽく路線変換した気だるい感じのサウンドと、鏡を上手く使ったPVが印象的です。
Lio - Zip A Doo Wah
83年リリースのアルバム『Amour Toujours』からのシングル。
このへんの音はまだかなりテクノっぽいですね。シンプルな打ち込みを使ったオーソドックスな作りと、可愛らしい歌声、そして途中で急に露出度の高くなるPVがなかなか良いです。
Lio - Les Brunes Comptent Pas Pour Des Prunes
86年リリースのアルバム『Pop Model』からのシングル。
この頃になるとかなり脱テクノしていますが、その分かりやすさとエロさは不変です。
Lio - The Girl From Ipanema
91年リリースのアルバム『Des Pour Un Cameleon』からのシングル。
あのアントニオ・カルロス・ジョビンの有名なボサノバナンバーを、グラウンドビートを取り入れたクラブ向けのアレンジにして、フランスでスマッシュヒットとなりました。
現在彼女は音楽活動と並行して映画出演などの女優活動も行い、フランスでは根強い人気を誇っているようです。日本ではアルバムが出ないので、ほぼ忘れられちゃってますが。
またあの精力の強そうなルックスのイメージどおり、結婚と離婚を繰り返し、子だくさんで頑張っているというのが、いかにもって感じでいいなあと思いますね。
せっかくですから、ここで男性向けにサービスショットを貼っておきましょう。
これは88年リリースのアルバム『Wandatta』のジャケットです。
またずいぶん筋肉質なヌードだな、と思われるでしょうが、実はこれはよく見るとイラストなんです。さすがにジャケットで脱がれると引きますし。
それにしてもあざとい路線なわけですけど、こういうところにもこの人のたくましいショービズ根性を感じますね。