ロキシー・ミュージック

前回の続きになります。
ブライアン・イーノを解雇したロキシー・ミュージックは、後任にカーヴド・エアに在籍していたキーボード&バイオリン・プレイヤーの美青年、エディ・ジョブソンを加えて再始動しました。
音楽的にはイーノがいなくなって、ブライアン・フェリーが完全にイニシアティブを握ったため、それまでの前衛的な要素は廃され、耽美的・叙情的な面が非常に強くなっています。フェリーのソング・ライティング能力にも磨きがかかり、次々と名曲が生まれました。
またジョブソンの卓越した演奏技術は、これまでなかったアンサンブルの妙というものを生み出し、バンドは音楽的にも成熟の方向へ進んでいきます。ファンの間で一番人気が高いのもこの時期ではないでしょうか。


Roxy Music - Street Life


73年にリリースされた3rdアルバム『Stranded』からのシングル。全英では9位を記録しています。
前衛的・未来的な要素はなくなりましたが、そのぶんダンディなかっこよさと退廃的な部分が前面に出てきているような気がします。ボール牧ばりの指パッチンはどうかと思いますけど。
またこの曲は、ライブでもよく演奏される定番曲ですね。


Roxy Music - All I Want Is You


74年にリリースされた4thアルバム『Country Life』からのシングル。全英では12位まで上昇しています。
かなり王道ポップ・ソングを意識して作られていて、サビの転調なんかはなかなか気持ちいいですね。いつもはヘタウマなプレイのフィル・マンザネラも、この曲では柄にもなくベタな感じのギター・ソロを弾いていて面白いです。


Roxy Music - Out Of The Blue


同じく『Country Life』収録曲。
この映像ではジョン・ウェットンエディ・ジョブソンという、後にU.K.で鎬を削るコンビがいち早く実現しているのが個人的にはツボなんですが(2011-08-04参照)。
特にのちに彼のトレード・マークにもなったジョブソンのクリスタル・バイオリンを見ると、なんとも言えない懐かしさがこみ上げてきますね。


Roxy Music - Love Is The Drug


75年にリリースされた5thアルバム『Siren』からのシングル。邦題は『恋はドラッグ』。
この曲は全英2位の大ヒットとなったほか、これまで縁がなかったビルボードでも30位まで上昇し、彼らのアメリカでの最大のヒットとなっています。
挑発的なベースラインと物憂げなサックスの音色に導かれて、耽美的だけどポップな世界が展開されていく様は、この時期の彼らの集大成であり、ここが頂点と言ってもいいのではないでしょうか。


しかし『Siren』に伴うツアーの終了後、76年にバンドは解散を発表します。
もともとメンバーはバンドの活動と平行して、積極的にソロ活動を行っていましたが、結局皆がバンド活動よりそちらに興味が移ってしまったというのが原因のようです。
彼らの再集結は78年まで待たなくてはならないのですが、それはまた次回で書くことにします。