ブロンスキ・ビート

突然思い出したので、今回はブロンスキ・ビートです。こういう発作的な理由で書き始めることが多いようにも思えますが、気にしないで下さい。


ブロンスキ・ピートは80年代前半、ジミー・ソマーヴィル、スティーブ・ブロンスキ、ラリー・スタインバチェックの3人で結成されたユニットです。
ミュンヘン・ディスコを受け継いだような、シンセによるダンス・オリエンテッドサウンドと、ジミーのファルセット・ヴォーカルが特徴でしたが、それより喧伝されたのは彼らが3人ともゲイだったということです。
彼らはゲイのセクシュアリティの問題について積極的に関わっていて、これは彼らの楽曲において非常に大きな要素を占めています。


Bronski Beat - Smalltown Boy


84年にリリースされた彼らのデビュー曲。アルバム『The Age Of Consent』にも収録されています。
自分がゲイであることを受け入れてくれない両親に絶望し、そこから去っていく少年の孤独と悲哀を描いた内容で、PVにはアンチ・ゲイの青年たちによるゲイ狩りも描写されていて物議を醸しました。
この曲は全英3位という大ヒットとなりました。初めてメインストリームで成功した、ゲイをテーマにしたポップ・ソングだったかもしれません。
そういうバックグラウンドもあるため、物悲しいジミーのファルセットは、他のヴォーカルとは異なる次元の切実さと説得力を持っていると思います。


Bronski Beat - Why?


これも84年にリリースされた2ndシングル。
完全にアンチ・ゲイを糾弾する内容になっており、これも全英6位のヒットとなっています。



Bronski Beat - It Ain't Necessarily So


アルバム『The Age Of Consent』からカットされた3rdシングル。もともとはジョージ・ガーシュウィンのオペラ『Porgy And Bess』に使われた曲のカバーです。
反人種差別主義の立場から聖書の内容に疑問を呈しているこの曲を、彼らはアンチ・ゲイ批判へと巧みに置き換えてみせ、見事に成功させています。このへんのアプローチはさすがですね。
曲自体はとてもシングル向きのキャッチーなメロディーとは言えませんが、そのメッセージ性が高く評価されたこともあって全英14位のヒットとなりました。


Bronski Beat feat. Marc Almond - I Feel Love/Johnny Remember Me


85年にリリースされた4thシングル。
この曲は『The Age Of Consent』に収録されていたドナ・サマーのヒット曲のメドレー『I Feel Love/Johnny Remember Me』を、やはりゲイのヴォーカリストであるマーク・アーモンド(元ソフト・セル)とのデュエットとして再レコーディングしたもの。
ゲイ的な視点で見れば豪華絢爛なデュエットとなったこの曲も、全英3位の大ヒットとなりました。


このようにたった1年の間に、ゲイを前面に出したミュージシャンの中では空前の成功を収めたブロンスキ・ビートでしたが、それが災いした形となりました。
あまりにも急激にスターダムに登り詰めたため、そのプレッシャーに耐えられなくなったジミーが、85年早々に失踪・脱退してしまうのです。彼は後にコミュナーズを結成します。
このユニットの中でのジミーの存在は非常に大きかったため、これでブロンスキ・ビートも終わりだという観測が主だったのですが、残されたメンバーは新しいヴォーカリストとしてジョン・ジョンことジョン・フォスターを迎えて活動を継続することとなりました。


Bronski Beat - Hit That Perfect Beat



この曲のPVには2つのバージョンがあるので、とりあえず両方載せておきます。
これは85年にリリースされたシングルで、アルバム『Truthdare Doubledare』にも収録されています。
当時流行の兆しをみせていたハイ・エナジーに接近した、ノリのいいダンス・チューンで、大方の予想を裏切って全英3位の大ヒットとなり、ブロンスキ・ビート健在を示すこととなりました。
その後エイベックスなんかがよくリリースしていた、ユーロビートに通じる音でもありますね。


しかし結局このあとブロンスキ・ビートのセールスは低迷し始めて、87年にはヴォーカルのジョンが脱退してしまいます。
その後もユニットは細々と存続し、ゲスト・ヴォーカリストを迎えたり、国際エイズデーのライブでジミーが復帰して一度きりのオリジナル・メンバー集結が行われたり、ジョンが復帰したりといろいろありましたが、現在は活動休止状態になっているようですね。
現在スティーブはプロデューサーとして、ラリーは舞台監督として、それぞれ活躍しているということです。