ブラック・クロウズ

ブルースつながりで今日はブラック・クロウズです。
彼らはクリスとリッチのロビンソン兄弟を中心にして、米国アトランタで結成されたバンドです。
アメリカの埃がたっぷりと染み付いたような、南部魂溢れたブルースロックを演奏するのが特徴で、多少レトロっぽい部分もあるんですが、精力的なツアーで鍛えた高い演奏力と、スティーブ・マリオットを思わせるクリスの黒っぽい歌声は、新しいとか古いとか関係ない魅力を持っています。
この乾いた感じはアメリカならではですね。こういうのも悪くないです。


実はこのバンドとはいろいろ因縁がありましてね。
00年にジミー・ペイジとともに武道館で公演を行うということで、僕は友人とチケットを買って勇躍武道館へ赴いたんですが、ペイジの腰痛のため直前で来日は中止になっていました。
飲み屋で「聴きたいのはブラック・クロウズでペイジはおまけなんだから、戸板にでも縛りつけて立たせとけばいい」とか、ツェッペリンフリークが聞いたら卒倒するような罵詈雑言を吐きまくったことを、今でも鮮明に思い出せます。
翌年は単独で来日したので、捲土重来を期して渋谷公会堂まで観に行ったのですが、とにかく音がうるさいのなんの。場所が悪かったのかPAが悪かったのか、とにかく音がでかいうえに割れていて、何の曲を演奏しているのか全然分からなかったですし、おまけに翌日になっても耳鳴りが止まないというおまけまで付きました。
というわけで、いろいろと思い出深いバンドです。いい意味での思い出がないのがアレなんですけど。


The Black Crowes - Remedy


92年リリースの2ndアルバム『The Southern Harmony And Musical Companion』(邦題は『サザン・ハーモニー』)収録曲。
南部の土の香りが漂うミディアムテンポの名曲です。パワフルなギターリフとソウルフルな女声コーラスが素晴らしいです。
Bメロに流れる独特のタイム感がいいですね。泥の中へと引きずり込まれそうになります。あとエド・ハーシュのピアノもいいですねえ。


The Black Crowes - Sometimes Salvation


これも『The Southern Harmony And Musical Companion』からのシングル。アメリカではかなり売れた記憶があります。
テンポをぐっと落として、じっくりと聞かせる濃厚なブルース・ナンバーです。確かにアメリカ人好みかも。
この曲がブラック・クロウズの踏み絵的存在になるのかもしれませんね。これが気に入って更なる深みに入り込むのか、ここでブルース臭が強すぎて離れるかどっちかになりそう。


ブラック・クロウズは相次ぐメンバーチェンジを経て、02年には活動を停止してしまいます。
しかし05年には活動を再開して精力的なツアーを開始。08年にはアルバムも全米トップ10に入るなど、全盛期に劣らぬ活躍をしているようです。
ところで復活した年にサマーソニックで来日したのを友達が観に行ったのですが、ちょうどオアシスと同じ時間だったため、客が200人くらいしかいなかったそうです。
普通ならやる気がなくなりそうなものですが、彼らは「シークレットギグにようこそ」とジョークを飛ばしつつも、全力で素晴らしい演奏を見せてくれたとか。それでこそライブバンドです。