ミニストリー

前回ちょっとだけ名前を出したので、今回はミニストリーをいきます。
ミニストリーアメリカのインダストリアル・メタル界の重鎮です。一応バンドということになってはいますが、実質的にはアル・ジュールゲンセンのソロ・プロジェクトと言ってもよいでしょう。
当初は英国のエレ・ポップに触発されたダンサブルなサウンドを指向していましたが、80年代半ば頃からマシーン・ビートとエレクトロニクス・ノイズ、スラッシーなギター等を核とした、インダストリアル・ミュージックを確立し、ジャンルの第一人者となります。
彼らがいなかったら他のインダストリアル系の音も存在しなかったかもしれないわけで、ある意味その存在はエポックメイキングでした。
その音から感じられる冷徹さと暴力性は、現代アメリカ社会の闇の部分を象徴していると言ってもいいかもしれません。


Ministry - Burning Inside


89年にリリースされたアルバム『The Mind Is A Terrible Thing To Taste』に収録されている曲。
無機質で暗いエレクトリック・ビートと、ひたすら繰り返される重いリフ、電気的処理を施され激しく歪曲したヴォーカル、そしてハードコア的な疾走感が気持ちいいナンバーです。
メタリカをはじめメタル側からの支持も集め、彼らの出世作となりました。


Ministry - Just One Fix


92年にリリースされたアルバム『Psalm 69:The Way To Succeed And The Way To Suck Eggs』(邦題は『詩篇69』)に収録されている曲。
延々と繰り返されるメインリフを中心に展開するワンコードの曲で、サンプリングと4つ打ちの煽るようなスネアが、さらに攻撃性を高めています。
重いけど異様なテンションが充満していて、聞き手を威嚇するような凶暴さに溢れている楽曲です。


Ministry - Jesus Built My Hotrod


この曲も『Psalm 69:The Way To Succeed And The Way To Suck Eggs』に収録されている曲です。
非人間的な殺伐とした疾走感がいいですね。機械が演奏しているスラッシュメタルって感じ。
あとヴォーカルを担当しているのはゲストとして招かれたバットホール・サーファーズのギビー・ハインズなんですが、いかにも馬鹿にしたような歌い方でいい味出しています。
それと間奏のギターがスライド・ギターだったのは、ちょっと驚きました。


ミニストリーは『Psalm 69:The Way To Succeed And The Way To Suck Eggs』で全てをやり尽くした感じになって、以降は精彩を欠いていきます。
その後は作品を出しても過去の焼き直しと言われてしまい、評価もどんどん下がっていきました。個人的にもかつてあった緊迫感や暴虐性は失われたように感じはしましたね。
結局08年には解散するのですが、なぜかその後もMinistry & Co-Conspirators名義でアルバムリリースは行われているようです。