ジェーンズ・アディクション、ポルノ・フォー・パイロス

今日はジェーンズ・アディクションです。
彼らは85年に米国ロサンゼルスで結成され、R.E.M.ピクシーズレッド・ホット・チリ・ペッパーズらと共に、オルタナティヴ・ロックの土台を作り上げたバンドです。
オルタナ時代到来の前に解散してしまったんで、特に日本では「ロラパルーザを主催したバンド」程度のイメージしかもっていない人が多いですが、実はレッチリなどと並ぶ西海岸を代表するミクスチャー・バンドの先駆であり、その型にはまらない生々しさと蛇がうねるかのようなグループ感は、後続のバンドとは比較にならないエネルギーを持っていました。
また母親が自殺し、ガールフレンドがオーヴァードーズで死亡するという十字架を背負った青春期を過ごしたヴォーカルのぺリー・ファレルと、15歳のときに母親のボーイフレンドが母親と叔母を射殺し、テレビ番組で公開捜査が行われたというトラウマを抱えるギターのデイブ・ナヴァロが中心人物であるせいか、精神的な暗部が音楽に色濃く反映されていて、明るそうでいて根は重い音と、貧困や暴力などの現実を赤裸々に歌ったリアルな歌詞が特徴でした。
彼らはドラッグ・カルチャーにも深く関わっていて、バンドの活動中その手の話には事欠きませんでした。


Jane's Addiction - Been Caught Stealing


これは90年にリリースされた3rdアルバムで、彼らの最大の成功作ともなった『Ritual De Lo Habitual』に収録された曲です。
非常にキャッチーで楽しい曲ですが、万引きを題材としたPVと、「盗みを楽しんでいる」といった内容の衝撃的な歌詞のマッチングが強力なナンバー。


Jane's Addiction - Stop!


同じく『Ritual De Lo Habitual』収録曲です。このアルバムは全米で19位に入り、ダブル・プラチナムを売りました。
グルーヴィーでファンキーなロックンロールっぽい曲で、ナヴァロのギターリフが非常にカッコいいですね。


彼らは『Ritual De Lo Habitual』後のハードなツアーでドラッグ問題が深刻化し、ファレルとナヴァロがしばしばステージ上でつかみ合いをするなど迷走し、91年に解散。ラストライブではファレルが全裸となり、ライブ後半をフルチンで通しました。
その後ナヴァロはレッド・ホット・チリ・ペッパーズジョン・フルシアンテの後任として加入し、1枚のアルバムを残しています。
またファレルは新バンド、ポルノ・フォー・パイロスを結成し、2枚のアルバムを出しています。


Porno For Pyros - Pets

D


ポルノ・フォー・パイロスのデビュー・アルバム『Porno For Pyros』に収録されたシングル。
この曲は全米でスマッシュヒットし、アルバムも全米3位に入るなど、ファレル最大の商業的成功となります。
ジェーンズ・アディクションのカラーを継承しつつも、ファレルが本来持っていたゴシックなテイストや神秘的な空気がより強くアピールされていて、やや内省的なイメージとなっています。


しかしポルノ・フォー・パイロスはあえなく解散。ファレルはレッチリを脱退していたナヴァロと寄りを戻し、97年にジェーンズ・アディクションを再結成し、03年にはアルバム『Stray』をリリースし、全米4位に送り込んでいます。
とはいえバンドは不安定で、何度も解散しては再結成を繰り返しているのですが、とりあえず現在も元気に活動しています。一時は元ガンズ・アンド・ローゼズダフ・マッケイガンもメンバーでした。
またファレルは、エクストリームのヌーノ・ベッテンコートとサテライト・パーティーなるバンドを結成していた時期もありましたが、残念ながら未聴です。