オーシャン・カラー・シーン

今日はブリットポップ全盛時において、その独特の骨太のサウンドで支持を得たオーシャン・カラー・シーンです。
彼らの特徴は、スモール・フェイセズトラフィックあたりに影響を受けたと思しき、一本筋の通ったストレートで力強いサウンドです。
初期の頃は自分のルーツからの影響を正直に出しすぎることに批判もありましたが、それも経験を積むことによって消化していき、自分たちの持ち味としていきました。


そんな彼らですがデビュー時はトラブルが多く、危うく悲運のバンドになりかけたこともありました。
彼らはフォンタナ・レーベルと契約して92年にデビュー・アルバム『Blue Deep Ocean』をリリースするのですが、フォンタナの介入で制作中に3回もプロデューサーが代わるという迷走を見せたうえ、できたのは当時人気のあったシャーラタンズの亜流のような音で、本来意図するものとは遥かに遠いものでした。
当然これに不満を持ったバンド側はレーベルと衝突して契約を破棄。そのため多額の違約金を請求されて一時は活動もおぼつかなくなり、そのまま消滅する可能性も出てきたのです。
そんなバンドに救いの手を差し伸べたのが、ザ・ジャムなどで有名なポール・ウェラーと、オアシスのノエル・ギャラガーでした。
彼らの支援(特にポールはメンバーを自分のバックバンドに起用して、経済的にも助けたそうです。いい人だなあ)によりバンドはレーベルをMCAに移籍。96年にようやくシーンに復帰を果たすことに成功します。
このためオーシャン・カラー・シーンは、ポール・ウェラーの弟分として語られることが多いです。またノエルとの友好関係も続いています。


Ocean Colour Scene - The Riverboat Song


96年の復帰作でもある2ndアルバム『Moseley Shoals』からのシングル。
全英で15位まで上がるヒットとなり、またアルバムも2位まで上昇しプラチナム・ディスクを獲得しています。
この曲はとにかくアメリカのR&Bの影響が顕著ですね。そのまんま過ぎるのはご愛嬌ですけど。
ギャング映画のワンシーンのようなグルーブ感たっぷりのイントロから、サイモン・ファウラーの男臭さ満点のヴォーカルが炸裂するカッコいい曲です。ギターリフと変則リズムも印象深いですね。
ちなみに僕が初めて買った彼らのシングルでもあります。


Ocean Colour Scene - The Day We Caught The Train


これも『Moseley Shoals』収録曲。全英4位のヒットを記録している、彼らの代表曲です。
ちょっとビートルズの『Lucy In The Sky With Diamond』を思い出したりもするんですが、いい曲です。テンションが上がりますし。
サビの「オーララ」の部分は、ライブだと大合唱になるそうです。ファンに愛されている名曲ってことなんですね。


Ocean Colour Scene - Hundred Mile High City


97年の3rdアルバム『Marchin' Already』からのシングルで、彼らの代表曲のひとつ。
この頃は彼らのセールス的な全盛期で、この曲は全英4位を記録したほか、アルバムも1位を獲得し、またしてもプラチナム・ディスクとなっています。
この曲の魅力はとにかく鋭いギターのカッティングと力強いリズムで、よりいっそう骨太になったバンドの成長を見せてくれています。
ガイ・リッチー監督の映画『Lock, Stock And Two Smoking Barrels』にも使用されていましたね。


Ocean Colour Scene - Profit In Peace


99年の4thアルバム『One From The Modern』からのシングルで、全英13位を記録しています。
ブラック・ミュージック指向を後退させ、シンプルなフォーク・ロック路線に移行した本作を代表する、温かみのある美しいバラードです。
もう戦いたくないという人間の素朴な感情をメインに掲げると同時に、戦争の経済効果の面にも光を当て、複雑さに満ちた現代という時代を巧みに描いた歌詞が素晴らしいですね。


Ocean Colour Scene - Day Tripper


これはビートルズの名曲のカバー。
仲の良いノエル・ギャラガーも参加しています。


その後彼らは90年代後半のブリットポップブーム終焉と、ヴォーカルのサイモンがゲイであることを大衆紙にすっぱ抜かれたことによって、じりじりと人気を後退させていきます。
しかも作風もスタイル・カウンシルが渋さを追求しているような路線に転じたため、さらに地味な存在になってしまうのですが、それでも自主レーベルから地道にアルバムを出し続け、英国ロック界の良心的な存在として活動しています。
日本でも根強い人気があり、サマーソニックフジロックなどに何度も来日しています。今年も3月に単独で来日するはずだったのですが、東日本大震災の影響で延期となり、秋に振替公演を実施すると聞いています。