ヴァン・へイレン

昨日がダウナー過ぎましたから、今日はひたすらアッパーなのを。というわけで、ヴァン・へイレンをいきます。
このバンドを初めて聴いたのは、中学2年生か3年生か、そのくらいのときだったと記憶しています。
当時購読していた『週刊FM』という雑誌で、10人の評論家がこれから注目のミュージシャンを1つ挙げていくという企画があったんですが、その中で今も活躍している評論家の伊藤政則氏が、熱く推薦していたのがこのヴァン・へイレンでした。
その頃僕はもういっぱしのパンク少年ではあったんですが、出自はハードロックでしたから懐かしさもあり一応読んでみたところ、その文章のあまりの熱の入りように当てられたようになってしまい、そこまで言うんなら聴いてみようじゃないのと思って、FMで彼らの曲を聴いたんでした。
そのとき聴いたのがこの曲です。


Van Halen - Aint Talkin' Bout Love


デビュー・アルバム『Van Halen』(邦題は『炎の導火線』)に収録されていた曲で、邦題は『叶わぬ賭け』。
もうイントロを聴いただけで「これはすごい」と思いました。あまりにカッコよくて、中学生にはインパクトあり過ぎでした。
とにかくエドワード(以下エディ)・ヴァン・へイレンのギターがすごかったですね。この曲には超絶速弾きも、彼を一躍有名にしたあのライトハンド奏法*1もないんですが、シナプスを引きちぎるようなヘヴィで暴力的なギターの音は、一種革命的なものすら感じましたから。
あとヴォーカルのデイブ・リー・ロスの確かに野生的ではあるけど、かなりアホみたいなシャウトも、個人的には好きでしたね。
とにかくファーストコンタクトですっかりやられた僕は、その後も新譜が出るたびにきちんと聴いてました。


Van Halen - (Oh) Pretty Woman


82年にリリースされた5thアルバム『Diver Down』に収録されている曲。先行シングルとしても発売され、ビルボードで12位を記録しています。、
このPVを当時見たときは、あまりに意味不明でくだらなくて笑っちゃった記憶がありますねえ。
二人の小人が繋がれた女性をいたぶっているところから、次々とメンバーがアホらしいコスプレをして登場するところまですべてが完璧。
特にラストでナポレオンみたいな扮装で、得意げに登場するデイブの雄姿には腹がよじれました。
曲はロイ・オービソンのカバーで、64年に全米と全英で1位を記録している名曲です。このカバーは本来のロックンロールに、骨太なアメリカン・ハードロックの要素が加味されて、なかなか聴かせてくれます。
またいつもの彼らのような派手なギターソロはないですけど、ピッキングハーモニクス*2とかにはらしさを感じますね。


Van Halen - Hot For Teacher


84年にリリースされた6thアルバム『1984』にも収録された曲。シングルカットもされ、ビルボードで56位を記録しました。
とにかく馬鹿丸出しのPVですが、微妙にずれてる下手っぴなダンスや、図書館の机の上でニタニタ笑ってソロを弾くエディの顔がなんか印象に残ります。
先ほどの『(Oh) Pretty Woman』もそうですが、アメリカのメタルのPVってこういう脱力した間抜けなのが多くて好きです。
またサウンドもいいですね。エディの専売特許のタッピングスタイルの定番としてもお勧めですし、イントロの3連のリズムでのツーバスは凄いの一言。


僕がヴァン・へイレンを聴かなくなったのは、『1984』より後からですね。
理由はデイブ・リー・ロスが脱退したからです。後任のサミー・ヘイガーもソロキャリアが長くいいヴォーカリストではありましたが、僕としてはやっぱりヴァン・へイレンは、デイブがヴォーカルでないとしっくりこなかったので。
あとどんどんポップ化していったのも、あまり好感は持っていなかったです。大ヒット曲の『Jump』や『Panama』も、いい曲だとは思っていますがそんなに好きじゃなかったですね。


その後ヴァン・へイレンは、サミー→デイブ→ゲイリー・シェローン(元エクストリーム)→サミーとヴォーカルの変遷がありましたが、現在はデイブが元の鞘に収まっています。
またベースはエディの息子のヴォルフガングに代わったため、ギター、ベース、ドラムスがヴァン・へイレン一族という、まるでサザン・ロックみたいなファミリー・バンドになりました。親子で同じバンドというのは、ロックではかなり珍しいんじゃないでしょうか。
一時はエディの癌の手術などで活動が停止していた時期もありましたが、今も元気に活動していて、現在はニューアルバムのファイナルミックス作業中だそうです。

*1:指板上の弦を右手の指で叩き付けて押弦したり、そのまま横に弾いたりして音を出すギター奏法。ライトハンド奏法は日本独自の古い呼称(実際エディ自身にも通じなかった)で、現在一般にはタッピングと呼ぶ。エディ登場時に華々しく紹介されたため、彼が作った奏法と誤解されやすいが、実際はエディ以前にもスティーブ・ハケットらが行っている。

*2:エレキギターの奏法。弦を弾く際にピックを持った親指を弦に一瞬触れさせて、倍音を出すこと。