スウェード

昨日は無事納骨を済ませてきました。
とりあえず法要の際、お坊さんが読経している途中、いきなり尺八を取り出して吹き始めたのにはたまげましたが。
宗派や土地柄によっていろいろやり方があるんだなあと、そのときは自分を納得させたんですが、もしかしてあれが単なるお坊さんの趣味だったらどうしようと、今になって思っています。


まあそんなことはどうでもよくて、今回はスウェードです。
スウェードブリットポップ黎明期直前の英国に突如として現れて、グラムロックを踏襲した退廃的な音で、一世を風靡したバンドです。
シルクサテンのシャツにエモーショナル・ヘアといった風体で、中性的なイメージを演出していた彼らは、見ていて正直ちょっとカマっぽくてウザく思えるところもあったんですが、グランジやマッドチェスターの影響下にあった当時のシーンではそこが逆に新鮮に思えて、割と聞いていた覚えがありますね。


Suede - The Drowners


92年にリリースされた彼らのデビューシングル。
全英で49位という小ヒット(ただしインディー・チャートでは5週連続トップを記録)ではありましたが、同性愛や近親相姦などタブー視されている題材を扱ったことによりスキャンダラスな話題を呼び、彼らは一躍全英で注目される存在となりました。
ブレット・アンダーソンの中性的なヴォーカルと、独特の唸るような音色を持ったバーナード・バトラーのギターは、ザ・スミスモリッシージョニー・マーの関係にも例えられていましたっけ。
このちょっとねっとりとした感じの演奏は、いかにもグラムロックの後継者的な匂いがあって、個人的には好きでした。


Suede - Animal Nitrate


93年にリリースされた3枚目のシングルで、全英で7位のヒットを記録しています。
妖しいブレットのヴォーカルと、PVでのダンサーの肉体のいろんな意味でのリアルさが印象に残る曲ですね。
当時インディーのバンドでありながら、ブリット・アワーズに出演した彼らはこの曲を演奏したのですが、ブレットはマイクのコードで自らの尻を何度も叩くなど、SMを連想させるようなパフォーマンスを行って顰蹙を買います。しかしそれがますます彼らの話題性を高めることとなりました。


とにかく彼らは音楽性以上に、そのスキャンダル性が話題となるバンドでもありました。
ブレットは自らを「僕は男性経験のないバイセクシャルだ」と言ったり、イギリス王室を「馬鹿で醜い連中」と批判したり、当時会見したモリッシーを「無気力なティーンエイジャー」呼ばわりして怒らせたりと、様々な発言で物議を醸していきます。
また歌詞では積極的にセクシャルなタブーを取り上げ、その点でも大きな話題を呼んでいました。
しかしそういったスキャンダラスな面ばかりが注目される状況に嫌気が差して、94年にバーナードが脱退すると、ブリットポップの波にも押される形となり、スウェードは失速していきます。
一時は音楽性を明るくポップに変えて持ち直すものの、その後ダンス・ミュージックへの接近を図って失敗。ブレットの薬物中毒も悪化したうえ、おまけに所属レコード会社の倒産まで重なり、バンドは最悪の状況になっていきました。
レコード会社を移籍後、耽美的な雰囲気を消してアコースティック主体のサウンドに変化するも、これが支持を得られず結局03年にスウェードは活動を停止してしまいます。


Suede - Trash


これは一時ポップになって持ち直していた頃のシングル。
96年に3rdアルバム『Coming Up』に先立ってシングルカットされ、全英3位のヒットを記録しました。
また『Coming Up』は全英1位となり、シングルカットした5曲が全てトップ10入りするという、彼ら最大の成功を記録しています。
ただ個人的には初期の猥雑で淫靡な感じが好きだったので、この曲に対してはどうしても真っ当になった印象を持ってしまい、そんなに感心しなかった記憶がありますね。今改めて聴くとなかなかいい曲ですし、スウェードっぽさも出ていると思えるのですが。


スウェード解散後ブレットはバーナードと寄りを戻し、ザ・ティアーズというバンドを結成しますが、商業的に失敗してレーベルから解雇され、あえなく解散するはめになりました。
そして10年には夢よもう一度とばかりスウェード再結成に踏み切るのですが、バーナードは誘われなかったため不参加で、そのせいもあるのか(関係ないか)あまり注目もされていないみたいです。
いい個性を持っているバンドだとは思うので、もう一花咲かせてほしいのですが。