モントローズ・アヴェニュー

僕はあまり体が丈夫なほうではなく、真夏の昼間の屋外には耐えられないので、よくある夏のロックフェスには一度しか参加したことがありません。
それは13年前、98年に豊洲の東京ベイサイドスクエアで開催されたフジロック・フェスティバルでした。死ぬほど暑かったんですが、近くに住んでいた友達の家に泊めてもらうなどのサポートがあって、何とか無事に参加できました。
そこではプライマル・スクリーム、エイジアン・ダブ・ファウンデーション、コーン、thee michelle gun elephant、ベック、イギー・ポップエルヴィス・コステロソニック・ユースなどをたっぷりと堪能した(ベン・フォールズ・ファイブやイアン・ブラウンなどが見られなかったのが惜しかった)んですが、なかでもプロディジーは疲れているのに思わず腰が動いてしまうほど物凄くて、あれは僕が生涯に観た中でも最高のライブだったかもしれません。
そんな感じでたくさんのバンドを楽しんでいたんですが、その中でひとつ気になる新人バンドを見つけました。それが2日目の朝一番に出てきたモントローズ・アヴェニューでした。
僕は不勉強でこのバンドのことはまったく知らず(まだアルバム・デビュー前だったらしい)、当然ノーマークだったわけですが、その泣きのメロディと美しいハーモニーにちょっとした感銘を受けて、うわー掘り出し物だ、とか朝から興奮しちゃったんですが。


The Montrose Avenue - Where Do I Stand


これがそのときの映像です。懐かしくて思わずぐっと来てしまいました。改めて聴くと演奏はあんまり巧くないですけど、若々しい感じが非常に良いですね。
このライブを見てそんなに時間が経たないうちに、彼らのマキシ・シングル『Where Do I Stand』を買った記憶があります。それくらい彼らに対しては鮮烈な印象がありました。


The Montrose Avenue - Where Do I Stand


PVはどこを探しても見当たらなかったので、とりあえずスタジオ録音だけでもと思ってこれも貼りました。
疾走感のあるビートに乗せて歌われる切なさ満載のメロディーとドラマティックな曲展開、そして70年代のウエスト・コースト系の影響を感じさせるハーモニーが泣ける逸品です。
特にハイレベルなハーモニーの波状攻撃は素晴らしいですね。確かに美しいのですがそれだけではなく、肉厚で力強いため軟弱さを全然感じないところがいいんですよ。これにより楽曲にダイナミズムが生まれているように思います。


The Montrose Avenue - She's Looking For Me


これもマキシ・シングルに収録されていました。
冒頭のサイレンの音からスタートして、巧みなコーラスワークでたっぷりと盛り上げ、高揚感いっぱいのまま終わる曲で、やはり大変気に入っていました。
他の曲もなかなかの佳曲揃いで、これは多少クラシックな面はあるけれどソングライティング能力も優れていますし、かなりいけるんじゃないかと思いましたっけ。


しかし彼らは同年にデビューアルバム『Leaving In The Morning』をリリースしたものの、そのまま音沙汰がなくなってしまいました。
この記事を書くにあたってもう一度調べてみたんですが、はっきりした消息はわかりませんでした。ただドラムスのマット・エヴェレットがあの懐かしのメンズウェアの元メンバーだったというのを知ったため、Wikipediaメンズウェアの項を見てみたところ、「マットは脱退後モントローズ・アヴェニューというバンドに加入したがすぐに解散し、現在はロンドンのラジオ局に勤めている」という記載があったので、比較的早い時期に解散したことだけは確かなようです。
非常にいいバンドだったのに、何があったんでしょう。まあこういう感じで自然消滅するバンドは珍しくないと言えばその通りなんですが、期待していただけに残念ですね。
特にフロントマンであったスコット・ジェイムス、ポール・ウィリアムス、ロブ・リンゼイ・クラークの3人は、ルックスが良く才能もありそうに感じたので、現在の消息を知っている方がおられれば、御教示頂けるとありがたいです。


【追記】

とりあえず彼らの消息について、判明したことを書いておきます。
バンドは2ndアルバムのデモまでは完成させていましたが、レーベル(コロムビア)の方針が変わって契約が打ち切りになってしまい、それをきっかけにしてそのまま活動を停止してしまったようです。
いい作品を作っていただけにレーベルの方針変更は残念なところですが、実際評価の高さに反してチャートアクションは芳しくなかったので、仕方ないんでしょうね。
メンバーのその後ですが、ポール・ウィリアムスはベースのジミー・テイラーとともにThe Measureというバンドを結成しています。ただその後活躍したという話は聞きません。
またスコット・ジェイムスは、ステレオフォニックスのツアーサポートメンバーとして活動していたそうです。


それとPVもアップされていましたので、載せておきます。


The Montrose Avenue - Where Do I Stand


僕も初めて観たのですが、彼ららしく飾り気のないPVなんじゃないかと思います。