ディーヴォ

ニューヨーク・パンクはロンドンをはじめとして、いろいろなところに遺伝子を残したんですが、その中でも特に奇妙な形で結実したバンドがあります。それがディーヴォです。


ディーヴォは米国オハイオ州アクロン出身のニューウェーブ・バンドで、人間が普通プレイしないような、揺れをまったく持たないビート感に積極的にアプローチしたバンドです。
Devo」とは「De-Evolution」の略であり、『人間退化論』を音楽のバックボーン的テーマにしていて、見た目だけだと単なるゲテモノですし、誰でもできるデタラメのように捉えた人も多かったですが、とにかくいろんな意味で個性的で、時代の気分はよく表してました。
黄色い特殊な紙で作られたつなぎのスーツ(市販もされた)、ギクシャクしたリズムとステージアクション、かきむしるように弾かれる2本しか弦の張っていないギター、メンバー中に「ボブ」という名前が二人いたため、それぞれに「ボブ1号」「ボブ2号」とロボットみたいな名前をつけてしまうセンス、そして「退化」というバンドコンセプトと、すべてが強烈なインパクトを持っていました。
当時PARCOのCMにも起用され、奇妙なステージ風景がTVで流れてましたっけ。


Devo - (I Can't Get No) Satisfaction


この曲はブライアン・イーノのプロデュースでリリースした1stアルバム『Q:Are We Not Men? A:We Are Devo!』(邦題は『頽廃的美学論』)に収録された、ローリング・ストーンズのカバー。
ロックの大定番である原曲を、デジタルに因数分解したかのようにギクシャクしたビートで演奏して、ロックファンの度肝を抜きました。
当時ストーンズファンの友人がこれに相当激怒して、ディーヴォ支持の僕とものすごい論争になったことを思い出します。あの頃はロックファンも原理主義者みたいな人が多かった(苦笑)


彼らは90年代に入ると完全に忘れ去られてしまいましたが、21世紀に入ると再評価され、POLYSICSのように彼らからの影響を公言しているバンドも多くなりました。
僕は初めてPOLYSICSを見たとき、見た目までそっくりに模していたんで、思わずTVの前で爆笑してましたっけ。