ファイン・ヤング・カニバルズ

このバンドは日本でも多少ヒットしましたから、覚えている人もいるかも。
ファイン・ヤング・カニバルズは、元ザ・ビートのアンディ・コックス(ギター)とデイヴィッド・スティール(ベース)が、無名の黒人ヴォーカリストであるローランド・ギフトを迎えて結成しました。
彼らの特徴はスカやR&B、ソウルを土台に、ジャズ、ボサノヴァなどを吸収し、テクノ的な要素もまぶしたポップでしなやかな音でしょうか。
曲は非常に親しみやすく、ヴォーカルは奇妙だけど存在感があります。またソウルでありつつもあっさりしたリズムで、腰に来ないあたりが英国的だとも思いました。


Fine Young Cannibals - Johnny Come Home


85年にリリースされた衝撃のデビュー・シングル。英国では最高位8位を記録するヒットとなりました。
ソウルフルで高低自在、ねばっこくも哀感溢れるヴォーカルの特異さと、トランペットの音色が印象的なダンス・ナンバーです。


Fine Young Cannibals - She Drives Me Crazy


88年にリリースされたシングル。ビルボードで1位を獲得したほか、日本でもジョディ・フォスターの出演した、ホンダのシビックフェリオのCMに使われていました。
サウンドは非常に抜けが良くなり、デビューの頃に比べると米国的な開放感に溢れています。


Fine Young Cannibals - Good Thing


続いてリリースされたシングル。この曲もビルボードで1位を獲得しました。
今改めて聴いてみると、彼らの曲の中ではもっともブラック・ミュージック色が強いかもしれません。
なおこの2曲を収録したアルバム『The Raw & The Cooked』は、グラミー賞の最優秀アルバム賞を受賞しています。


しかし90年、英米での人気絶頂期に、ファイン・ヤング・カニバルズは音楽性の違いにより、あっけなく解散してしまいました。
解散後ギフトは彼が十代の頃から夢見ていたという俳優としての活動を中心とし、またミュージカルのスコアを手掛けるなど活躍の場を広げていっています。
またコックスとスティールも古巣ザ・ビートのメンバーとして、音楽活動を続けているようです。