久々に聴いたらめっちゃカッコよかったっす。
懐かしのパワー・ステーションです。
The Power Station - Some Like It Hot
パワー・ステーションは80年代半ばにデュラン・デュランのジョン・テイラー(ベース)とアンディ・テイラー(ギター)、シックのトニー・トンプソン(ドラムス)、そしてソロシンガーのロバート・パーマーによって結成され、しかもプロデューサー・仕掛け人がシックのバーナード・エドワーズという、一種のスーパーバンドです。
明らかにジャンル違いで世代もまちまちで、接点が殆ど見られない組み合わせである彼らが、ひとつのユニットとしてアルバムを制作してしまうということ自体がニュースだったのですが、そこで生み出されたサウンドが、それぞれのメンバーがこれまでやってきたサウンドのどれにも当てはまらなかった、というのが驚きました。
それぞれの得意とするものを持ち寄った結果、思いもしなかった異物が生み出されてしまったと言ったほうがいいでしょうか。
音自体は当時の最先端だったと思います。
簡単に言っちゃえば、ヘヴィでファンキーなリズムセクションの上でギターが暴れまくるハードなロックなんですが、音作りが非常に先鋭的でしたね。
特に印象に残るのがトニーの叩くドラムスの音です。いわゆるゲートリバーブ*1を多用しまくったそのサウンド。これはライヴでの再現が不可能に近いんじゃないか、と思うくらいでしたが、そういうのを抜きにしてもインパクトがありました。
またデュラン・デュランではほとんど目立たなかったアンディのギターも、ここでは歪みまくり、弾きまくりですし、ジョンのベースもわざと隙間を作るようなフレーズを多用し、このバンドの土台をしっかり作っているのに感心しました。
そしてロバートのアダルトでダンディな歌声も捨てがたい魅力があります。さすがソロで十分なキャリアを持つベテランだと唸りましたから。
The Power Station - Get It On (Bang A Gong)
T.レックスのカヴァー。
原曲はシンプルなブギーですが、こちらはめちゃくちゃファンキーで艶っぽい音に生まれ変わっていて、なかなか面白い仕上がりになっています。
パワー・ステーションはレコーディング・オンリーのユニットとしてスタートしたのですが、商業上の事情でツアーをせざるを得なくなり、スタジオ録音のみの契約と認識していたロバートは脱退、代わりに元シルヴァーヘッド(古い)のマイケル・デ・バレスをヴォーカルに据えて、これでライブ・エイドにも出演しました。
その後アーノルド・シュワルツェネッガー主演の映画『コマンドー』のエンディングのために新曲を録音しましたが、映画にこそ流れたもののリリースされることはなく、ユニットはそのまま自然消滅してしまいました。
1996年に一度再結成され、来日もしましたが、ジョンは不参加でプロデューサーのバーナードがベースを弾いていましたっけ。
その年にバーナードは日本で客死、03年にロバートとトニーも相次いで他界したため、ユニットの再結成は事実上不可能になっています。