トゥール

ちょっと重たい音が聴きたくなったので、今日はトゥールです。
トゥールはアメリカのプログレッシブ・ヘヴィ・ロックバンドで、様々な要素の混在した陰鬱で重量感のある独特の音世界や、複雑で重厚な曲展開、そしてそれを支える超テクニカルな演奏力が特徴です。
またギタリストのアダム・ジョーンズがハリウッドで映画の特殊メイクや特殊エフェクトデザインをする仕事をしていた(『ジュラシック・パーク』『プレデター』『ターミネーター』などに関わっていた)経歴を持つため、PVのほぼ全てを自らの監督で撮影しています。
その映像は幻想的かつグロテスクで、観る者に鮮烈なインパクトを残していきます。


Tool - Vicarious


06年にリリースされた4thアルバム『10,000 Days』に収録された曲。
彼らにしては珍しく解りやすい音。それでいて不穏感も強いのが彼らならではですが。
後半の展開からは、畏怖さえ覚えるような幾何学的アイデアが展開されていくのもすごいです。
キャッチーなメロディーに乗せて「離れた安全な場所から全世界が死にゆくのを見たい」と歌うところがちょっと怖い。


Tool - Stinkfist


96年にリリースされた2ndアルバム『Ænima』に収録された曲。
「臭う拳」とは、すなわちフィストファックのことなんでしょうけど。
メタル然としたリフで進行しますが、抑揚の付け方が非常に巧く飽きさせない構成の名曲。うねるようなリズムもまた気持ち良いです。
聴いている人間の心の内の、最も暗く脆くグロテスクな部分を掴んで離さない魅力がある一曲ですね。


正直音は好き嫌いが分かれると思いますが、うねりたゆたうような音世界は、独特の間があって僕は好きです。
そして映像はとにかく強烈です。ほとんど映画。
こういう世界は間口が狭い分、入ったら抜け出せないところがあるんですよね。蟻地獄です。